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「遠からず世代闘争が尖鋭化」 大前研一氏インタビュー

「遠からず世代闘争が尖鋭化」 大前研一氏インタビュー

Posted January. 25, 2013 07:34,   

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「2030年頃には、多くの先進国で社会保障や年金をめぐり老人と若者の世代間闘争が展開するだろう。新世代がいわゆる『若者の春』闘争で老人が見捨てられる事態が起こるだろう」

世界的な経営コンサルタントの大前研一ビジネス・ブレークスルー大学学長(70)は、多くの先進国が現在のような社会保障システムを続ければ、破綻を避けることができず、遠からず各国で世代間闘争が尖鋭化すると見通した。今は、老人が選挙での票を武器に既得権を維持しているが、収入も低く家もなく、結婚もできない若者の不満が爆発する時が来るということだ。インタビューは、昨年末、東京にあるビジネス・ブレークスルー大学の学長室で2時間30分に渡って行われた。電子メールでの追加インタビューも行われた。

——世代間闘争とは気が重くなる展望だが…。

「現在のシステムが続けば、若者の社会保障革命は避けられない。歴史的な実例もある。ロシアは、エリツィン大統領時代、超インフレにもかかわらず老人年金をそのままにした。若者が老人を助けずに見捨てたのだ。すると物価は暴騰するのに、年金受給額が変わらない老人たちは生活ができなくなった。若者はタクシーに乗って移動するが、老人は10キロ程度なら歩かなければならない。そのような時代がまた訪れるだろう。日本は『仕方がない』といった運命論的な文化が支配する社会なので、若者が福祉制度をすべてなくしても、老人は反発すらしないだろう…」

——2030年の世界秩序をどう予想するか。

「完全に多極化し、米国だけでなく欧州連合(EU)、中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)が共に主導する世界になるだろう。中国は、漢族が主導的に率いる現在の中国を維持することは難しくなる。2030年頃には、共産党一党支配体制も終わるだろう。貧しい中国なら、持続的な経済成果で現支配体制を維持できる。しかし、中国が米国と同じ水準の経済力を持つようになれば、13億の人口が自由のない状態を黙っていない。私は、北京を盟主とした『中華合衆国』を勧めている。そうすれば、香港、台湾、チベットがすべて合流し、より大きな中国を維持できるだろう。

ロシアは、プーチン大統領が再任することになれば、任期が終わる2024年までにEUに合流する可能性が高い。旧ソ連のゴルバチョフ大統領も「欧州共通の家(ECH・平和と繁栄のための政治・安全保障の協力を目指す地域共同体)」構想について言及したことがある。EUとロシアが合わされば、世界一の経済圏になる。

ASEANは、今より結束を強化し、EUより小さいが人口5億〜6億人の経済ブロックを作るだろう。盟主はインドネシアとフィリピンになるだろう。日本は、人口構造から見て、長期衰退が避けられない。韓国は、北朝鮮と『グレートコリア(Great Korea)』をいかに構築するかが鍵だ。2030年にはその過程に入っているだろう。韓半島の人口を考えれば、大変重要な国家になる」

——世界秩序が再編される過程で現れるリスクはどのようなものか。

「米国は、ロシアが合流する欧州の台頭を不安に思うだろう。『グレート欧州』と世界第1位を明け渡したくない米国が、大西洋を挟んで激しい世界経済ヘゲモニー争奪戦を繰り広げるだろう。中国国民は、平均所得が大幅に上昇し、ますます大きな声を上げて自由を求めるだろう。そうすれば、中国の支配構造の不安定性が増幅されるほかない。この2つが、世界秩序が変わる過程で現れ得る最も大きな不安要因だ」

——近い未来はどうか。昨年、世界の主要国の指導者が一斉に交代したが…。

「しばらくは世の中を一変させるリーダーが現れることは難しいだろう。ブラジルのダシルバ前大統領やロシアのプーチン大統領が初めて政権を取った時は、国を大きく変化させた。今は、いかなる指導者であれ、国家体制を大きく変える余地はほとんどない。中国は、胡錦濤時代に国内総生産(GDP)を4倍以上に上昇させたが、今後は無理だ。これからは、現在の状態をどう維持するかが鍵だ。中国の公共部門の債務などを見れば、過去のように急成長する財源も不足し、様々な矛盾を解決することにも力不足だろう。

欧州も、欧州中央銀行(ECB)の発券機能を使って経済破綻を避けながら、27ヵ国が結束して生き残るだろう。米国も現在の状態を維持するものと予想される。すでに崩壊状態で20年間漂流してきた日本は、今後も停滞した状態で生き残るだろう。

インドネシア、フィリピン、ナイジェリアが新しく成長国家に浮上する。しかし、これらが過去の中国やブラジル、インドに匹敵する大きな基盤を形成することは難しいだろう。企業も国家も野心に満ちた時代は終わった。今後しばらくは大きな変化のない退屈な世界になるだろう」

——著書『地域国家論』で明らかにした「地域国家(Region State)」とは何か。

「インターネット時代には、個人と企業、都市の発言が力を得ることになる。例えば、中国の成長エンジンである上海、天津、大連市は、人口700万〜2000万人で国家水準だ。このような都市は、北京の意見を気にしない。むしろ、4000兆円(約4景8400兆ウォン)にのぼる世界の遊休資金の誘致をめぐって激しい競争を行っている。もはや国民の税金で繁栄する時代ではない。シンガポールが代表的な例だ。他国の金と会社、富裕層を呼び込んで繁栄している。都市間競争が躍動的な経済発展の源泉だ。このような都市主導の発展は、国家モデルで説明できるものではない。国民国家概念は完全に終わったと考える」

——世界経済の低迷が続き、国家主義が再び強まっているのではないか。

「むろん、国家は続くだろう。しかし、付録のような存在にすぎない。日本人も領土問題で周辺国と対立する時には国家意識を持つ。できの悪い政治家は、それで火遊びをし、票を集めようとする。政治家が国民の愛国心に火をつけようとするということは、現実が正反対であることを示している。少しの間興奮しても、すぐに冷めてしまう。島の問題で北東アジア3国が争うことがあってはならない。島の領有権問題は、実効支配の原則に従えばいい」

——政治家だけでなく日本国民も右傾化しているという指摘があるが…。

「20年間、明るい話題がなかったためだ。『内向き』、『後向き』だった。駄目な人間が右傾化し、隣国のせいにする。劣等感を認めたくないため、『韓国がどうだ、中国がどうだ』とうっ憤晴らしをしている。外から見れば右傾化だが、内から見れば『草食化』だ。野望がなくなって弱気になったのだ。過去には、挑戦する精神を持って米国など困難な市場を切り開いた。今は、中国でもインドでも、新興市場で少しでも悪い事が起これば、荷物をまとめて帰ってくる。そうして、『日本がいじめられている。強くならなければならない』と騒ぐ。日本の雑誌も右傾化しなければ売れないという。読者が「中国と日本が戦えばどちらが勝つか」などの記事で代理満足をしているのだ。一種のゲーム感覚で接近している。しかし、編集長に会ってみれば、右傾化とは程遠い人々だ。それほど心配する必要はない」

——韓国の未来をどう見るか。

「日本は変化した韓国がよく分からない。韓国は、通貨危機を切り抜けた。特に、国際感覚を備えた優れた人材が頭角を現わすだろう。韓国の大学生50人と日本の大学生50人を混ぜて1クラス作れば、上位50位はすべて韓国の学生が占めるだろう。長期的に両国の人材格差が大きくなるだろう。しかし日本は、韓国がこのように変わった10年間、停滞した。問題は持続の可能性だ。三星(サムソン)、LG、現代(ヒョンデ)自動車など優れたグローバル企業があるが、その数が不十分で、優秀な経営者に依存する構造だ。産業基盤と言える部品素材分野の中小企業も非常に脆弱なのが現実だ」

——どのような変化が必要か。

「韓国の産業構造を見ると、台湾のように日本のインフラをうまく活用するのがいいだろう。日本にはコレステロールがたまった企業が多い。このような企業を韓国や台湾が買収し、日本を刺激するなら、『ウィン・ウィン』になる。日本は20年間経済が駄目だったが、インフラと基礎技術があるので滅びることはない。キヤノンやトヨタ自動車など依然として強い企業もある。一つ残念な点は、韓国の若者の行き過ぎた米国指向だ。台湾と中国の追撃を締め出すためにも、日本の人脈と知識を活用する必要がある。米国人化された韓国人には大きな競争力はない。同様の能力の米国人がいくらでもいるためだ。米国式の知識に加えて、中国、日本をよく知ってこそ、MBAができないことができる」

——韓日関係を楽観するか。

「両国の指導者が十分に話し合える関係にならなければならない。そのためにも、安倍晋三首相は靖国神社参拝など愚かな行動を避けなければならない。その基礎の上に新たな関係を構築することが重要だ」



bae2150@donga.com