スペイン人観光客のデビッド・ゴンザレス氏(28)は昨年12月13日、「江南(カンナム)シティツアー」に参加し、あっけに取られた。ゴンザレス氏が予約した商品は3万ウォンの終日ツアーであり、午前9時から午後6時にかけて、奉恩寺(ポンウンサ)や銀馬(ウンマ)商店街、江南駅通り、アクアリウム、宣陵(ソンルン)、新沙洞(シンサドン)街路樹通り、鋻潭(チョンダム)ファッション通り、コエックスモールを見て回るコースだった。しかし、銀馬商店街と新沙洞街路樹通りは、なんら説明もなく省かれた。昼食の時間も与えられず、お腹がすいた状態で、ガイドの後をついて回った。
ゴンザレス氏は、「午後1時30分ごろ、アクアリウムに入場した後、ガイドはなんの断りもなく帰宅してしまった」とし、「ガイドが一日中、『韓国式英語』を使ったため、江南に関する説明も十分聞くことができなかった」と不満を漏らした。また、「参加費を5万ウォンに引き上げてもいいから、質の高いプログラムを提供してほしい」と付け加えた。
歌手・サイが昨年7月にリリースした「江南スタイル」が世界中で人気を集め、ソウル江南地域に関心を持つ外国人らが増えている。しかし、江南に特化した観光商品はまだ活性化されていない。もともと、観光名所やインフラが足りない上、旅行業界も収益性が落ちることを理由に、背を向けているからだ。
江南区は、旅行会社・コスモジンに委託して、09年8月から「江南シティツアー」商品を運営している。7日現在、グーグルで「Gangnam tour(江南観光)」を検索すれば、「江南シティツアー」だけがヒットする。江南観光を希望する外国人が手にできる唯一の商品だ。米NBCニュースやビジネスインサイダー、インドのIBNライブなどの外国メディアが、 江南地域に関する特集記事を掲載しているのとは対照的だ。
ノボテルアンバサダー江南ソウルは昨年11月半ばから年末にかけて、外国人を対象に、半日間の 江南ツアーコースやソウルアートセンター、ロッテ免税店、コエックス店の割引券などを含む「江南スタイルパッケージ」を発売したが、実績は芳しくなかった。江南ツアーに関するPRがきちんと行われなかったため、パッケージは約50件しか売れず、実際、 江南ツアーに参加した宿泊客も20人余りに止まった。
旅行業界の関係者は、「ツアー商品は、入場料を払う観光名所やショッピング店からの手数料で収益を上げているが、江南地域にはこのようなところが少なく、商品をまとめるのが難しい」と主張した。また別の旅行業界の関係者は、「江南スタイルは、米州や欧州地域で人気を集めているが、韓国を訪れる観光客の大半である中国人と日本人は、光化門(クァンファムン)や明洞(ミョンドン)、東大門(トンデムン)など、江北地域を好む」と伝えた。
韓国旅行業協会のソ・デフン次長は、「江南地域には、観光客らが宿泊できる安価なホテルが少ない上、観光バスを停められるところもあまりなく、インフラ構築が急務だ」と主張した。
江南観光を活性化させるためには、韓国の伝統と江南の特徴である現代的な姿とが共存しなければならないという指摘が出ている。
漢陽(ハンヤン)大学観光学部の李勲(イ・フン)教授は、「松波区(ソンパグ)の百済博物館や夢村土城(モンチョントソン)、その周辺の高句麗遺跡などを観光コースとして整備し、その通りをテーマパークのように開発すれば、伝統と現代とが共存する観光名所を作ることができる」とし、国技院にテコンドー博物館を作ったり、各芸能事務所が中心となって韓流複合団地を造成するのも一つの方法だ」と話した。
米国や英国の一部の地域のように、レストランやカフェがフェスティバルを行い、観光客の目を引くのもよい案だ。李教授は、「江南地域は物価が高いだけに、低価格型団体ツアーよりは、上流層を狙った小規模な観光商品を開発するのが向いている」と付け加えた。
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