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[オピニオン]ソウル大学の古典教育

Posted December. 14, 2012 08:27,   

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「古典とは誰もが一度ぐらいは読んでほしいが、実は誰もが読みたがらない本だ」。自分の作品「ハックルベリーフィンの冒険」などを古典のレベルに押し上げた米小説家・マーク・トウェイン(‘835〜1910)の言葉だ。古典は硬くて気が重く、特に好きな人が読む本だという一般人の認識とも一致する。

◆ソウル大学・人文学部が来年から、新入生や在学生を対象に、「人文学の本質」を身につける古典教育を強化させることを決めた。毎年、古典3冊を選んで読み、勉強会などで討論を行う授業を計画している。元々大学の本領は、全人教育であり、全人教育の基には、人文学や古典教育が陣取っている。人文学部は、人文学研究や教育に向け特化した学部だ。にもかかわらず、人文学部が別途に、古典講読の授業を行うのは、韓国の大学教育が大きく歪んでいることを示すのに十分だ。ほとんどの学生が、就職活動に気をとられ、古典とは離れており、人文学的素養は、期待に及ばないという意味だ。

◆世界でノーベル賞受賞者を最も多く輩出した米シカゴ大学は、最初から一流大学ではなかった。シカゴ大学が躍進したのは、1920年代のロバート・ハッチンス総長のときからだ。ハッチンス総長は、偉大な古典100冊をすらすら暗記できない学生は、卒業させないといういわば、「シカゴプラン」を導入した。その結果、シカゴ大学は1929年から2000年にかけて、ノーベル賞受賞者68人を誕生させ、世界有数の教育機関になった。米名門教養中心大学(liberal arts college)であるセントジョンズカレッジは、古典100冊を読んで討論する授業が、4年間のカリキュラムの全てだ。

◆古典は昨今、さまざまな文化コンテンツの宝庫であり、人間の想像力や創意力を呼び覚ます源となっている。先端知識があふれ出し、社会が複雑化するほど、人間への深い理解や歴史への洞察を盛り込んだ古典の価値は、より増大している。アイフォン開発の過程でスティーブ・ジョブズの人文学的洞察力が反映されたのは、よく知られている事実だ。米ハリウッド映画の基本的枠組みは、ギリシャ・ローマ神話に大きく頼っている。ルネサンス以降、近代思想はプラトンの国家論に根を下している。ソウル大学人文学部の古典講読授業が、ほかの学部、ひいては全体大学に広まり、古典ルネサンスにつながることを期待する。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com