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[オピニオン]婉曲な言い方

Posted December. 12, 2012 09:05,   

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記者が米国で中古車を買うときの出来事だった。車のオーナーを訪ねて、交渉を試みたが、容易ではなかった。車のオーナーは記者の最後の提案を断りながら、このように話した。「それは困りますね。ここまできてくれてありがとうございます(Thank you for coming)。交渉は物別れに終わったものの、彼の最後の言葉に、心は軽くなった。英語にはこのような表現が多い。銀行などで、「コンピューターのトラブルでサービスが30分間遅れます」という案内が流れるとき、「ご理解いただき、ありがとうございます」という言葉は決まって加わることになる。婉曲な言い回しだ。直接口にしづらい状況や物事を遠まわしに、あいまいに、文語体で表現する。

◆日本人は婉曲な言い回しの大物だ。日本人女性に、「公演のチケットが2枚あるが、数日後一緒に見に行かない?」と持ちかけるとき、「ご招待ありがとう。その日はいろいろあってだめなんだ。今度また招待してほしい」という答えを聞いたなら、断られたことだ。「今度また招待してほしい」という言葉は本音ではない。文字通り再び誘えば、同じ言葉を再び聞かされることになる。「〜といわざるを得ない」流に、文章を長たらしく伸ばすことも、日本流の婉曲な言い方だ。しかし、交渉で断りの意味を、「検討する」、「考えてみる」と表現するのは、相手を戸惑わせるばかりだ。軍隊での性的奴隷を従軍慰安婦、侵略を進出または進攻と呼ぶのは、婉曲ではなく本質の歪曲だ。

◆ソウル市内バスで充電式交通カードを使うとき、「残額が足りません」という案内音声をたまに聞くことがある。すると、車から降りて充電したり、現金を取り出して払わなければならない。しかし今後は、残額が2500ウォン以下なら、「充電が必要です」という案内が先に流れるようになる。そのほうが遠まわしな言い方であり、恥ずかしい状況を事前に予防することもできる。一人の市民のアイデアをソウル市が採用したという。

◆歌手・サイが、「ヒョスン・ミソンさんの死亡事件」後、在韓米軍反対集会で歌った「毒舌ラップ」をめぐり、謝罪した。「今回の出来事で人気が消えるのでは」という米紙ワシントンポストの質問に対し、サイは、「それは重要ではない。重要なのは一人の人間として、そのような言葉を使ったことを心より、深く後悔していることだ」と述べた。謝罪はあいまいで、後での抜け道を考えてのことなら意味がない。直接かつ正直にしなければならない。サイは今回の婉曲でない発言を通じて、謝罪の真剣さを示している。

虛承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com