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法律ではなくなった豪州の白豪主義、国民の意識は未だに…

法律ではなくなった豪州の白豪主義、国民の意識は未だに…

Posted December. 05, 2012 08:51,   

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「バスの中で、熱いと思って振り返ると、白人の少年が私のカバンに火をつけていた」

「車から突然5人の白人が降りてきて、手や足で殴って立ち去った」

オーストラリアの主要大学の一つであるニューカッスル大学の韓国人留学生が体験した人種差別暴力の事例だ。同大学の学生会は8月、外国人留学生が経験した人種差別暴力の調査報告書を発表した。韓国人など留学生を狙った現地人の犯罪が相次いだため、学生会が乗り出して昨年8月から1年間、被害の届けを受けて分析した結果だ。

●人種差別暴力被害者の82.8%がアジア人

調査の結果、163件の人種差別暴力が集計された。身体への暴力が49件、言葉の暴力が123件だった。被害者のうち韓国などアジア系の留学生が135人で全体の82.8%にのぼった。中東地域出身が20人(12.3%)、アフリカ5人(3.1%)、オセアニア2人(1.2%)の順だった。欧州と北米の留学生は各1人だった。

人種差別被害を受けても、警察や大学に届けていないことが分かった。身体への暴力の被害者の15%、言葉の暴力の被害者の61%が一人で悩み、学生会に初めて被害の事実を打ち明けた。韓国人留学生のチョンさんは、「届けても助けてくれそうにないので我慢した。留学ビザが取り消されることが心配で、暴力に抵抗できなかった」と話した。

●政府主導多の文化政策の限界

最近、オーストラリアで韓国人が犯罪対象になったのは、オーストラリアの多文化政策が限界に達したうえ、経済の低迷があるためだという分析が多い。オーストラリアは全人口の4人に1人が海外出生者で、オーストラリアで生まれた移民2、3世まで含めれば、人口の半分が移民の多民族多文化国家だ。しかし、オーストラリアの白人の多文化認識は、米国やカナダなどの多民族国家に比べて脆弱だと指摘されている。

黒人を中心にした長期間の人権運動を通じて多文化政策を勝ち取った米国と違って、オーストラリアは国家が政策として、労働力不足問題を解決するために政府主導で多文化政策を推進した。

韓国民族研究院のイ・ヨンスン委員は4日、「法制度として白豪主義が廃止されたからといって、イデオロギーである白豪主義が国民の一人一人の頭の中から完全に消えたとは言えない」と指摘した。オーストラリアのスカンロン財団が2009年に国民4000人にアンケート調査をした結果、移民や留学生に反感を示す割合は10%にのぼった。民族や宗教などの理由で最近1年内に差別を受けたという回答も10%だった。5.8%は少なくとも1ヵ月に1回以上人種差別を受けるなど、継続して差別を受けていると答えた。05年のレバノン系イスラム教徒青年に対する集団暴行事件や09年のインド留学生への連鎖テロは、オーストラリアの白人が多文化に対する反感を露骨に表わした例だ。

●人種差別は経済低迷を招く

最近のオーストラリアの景気低迷も、このような流れを加速化させている。オーストラリアは08年の世界的な金融危機後に原材料の需要が減少し、資源大国としての位置づけが弱まるなど、赤信号が点っている。移住同胞政策研究所のクァク・ジェソク所長は、「景気低迷で自国民の失業は増えるのに、教育熱の高い韓国などのアジア人は専門職の従事者が多いことから、関係のない韓国人移民や留学生に怒りを表出している」と説明した。

しかし、留学や観光産業の依存度が高いオーストラリア経済の特性を考慮する時、このような傾向が続けば、自国経済の「得意先」であるアジアの顧客を失うことになるという見方が多い。オーストラリア政府が最近、一連の韓国人暴行事件に対して「人種差別犯罪と見る根拠がない」という見解を強調するのもこのためだ。現在、韓国人留学生は、中国(15万9691人)とインド(7万2801人)に続き2万9933人で3位を占めている。韓国を含むアジア諸国がオーストラリア留学費用として支出する金額は、年間16兆ウォンにのぼる。



ramblas@donga.com