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[オピニオン]融合のビビンバ

Posted November. 28, 2012 08:33,   

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「夫はビビンバが好きでした。おかず全てを入れて混ぜる韓国のビビンバこそ、自分の芸術作品に似ていると話したりしましたよ」。今年7月20日、京畿道龍仁市(キョンギド・ヨンインシ)の白南準(ペク・ナムジュン)誕生80周年特集展」の開幕式で、久保田成子夫人は、夫への懐かしさをビビンバを振り返ることで紐解いた。ビデオアートの創始者である白南準(1932〜2006)は生前、ビビンバを好んで食べ、自分の芸術や韓国文化のアイデンティティを、ビビンバから求めた。さまざまな食材を混ぜて一つにまとめるビビンバ精神を、韓国文化のコアコードだと解釈した。

◆ビビンバの昔の名前である「骨董飯」は、1800年代末に刊行された料理本「是議全書」に初めて登場する。「めまぐるしく混ぜる」という意味を持っている。大晦日の夜、食べ残りを混ぜて食べたことから由来している。ビビンバは、韓国料理の世界化の先頭走者として広く愛されている。大韓(テハン)航空は1997年から、ビビンバを機内食として提供してきたが、国内外の人を問わず、好むメニューとなっている。外国人らは、ご飯と具材とを別々に食べることもある。ポップの皇帝・マイケル・ジャクソンも、ビビンバマニアだった。アンジェリーナ・ジョリーやギネス・ぺルトロなどのハリウッド女優らは、低カロリーのダイエット食として好んで食べる。

◆韓国のドラマでは、試練を経験する女主人公が、鉢いっぱいにご飯を入れ、ごしごしと混ぜた後、口いっぱいに食べるシーンが必ずといっていいほど登場する。この時のビビンバは、体の糧だけでなく、精神的な飢えを和らげ、元気を出させる薬という意味だろう。与党セヌリ党の朴槿惠(パク・グンヘ)大統領選挙候補は26日、テレビでの単独討論会で、最も自信のある料理としてビビンバを取り上げた。さまざまな食材を混ぜて味を出すように、各自の個性や地域ごとの特性は違っても、全国民が一つになるとき、新たな跳躍を成し遂げることができるという意味から、ビビンバを統合のシンボルに取り上げたような気がする。

◆白南準は、「電子と芸術とビビンバ」というエッセーで、「ビビンバの本質は、それこそ大豆でもやしでも、萌やしでも、ほうれん草でも、ぜんまいでもないことにある」と定義した。ご飯に入る野菜が、一匹の狼のように、自分だけを主張すれば、ビビンバ固有の味を出すことができない。各食材が溶け合って、一つにまとまるとき、ビビンバのシナジー効果は発揮される。ふんわりとしたご飯に、食べ残りの惣菜や唐辛子の味噌を入れ、一滴のごま油を落としたビビンバ。その中に溶け込んだ疎通と融合の精神こそ、われわれが誇るべき文化遺産といっても過言ではないだろう。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com