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「ブラックボックス動画を買います」 垂れ幕から進化した目撃者探し

「ブラックボックス動画を買います」 垂れ幕から進化した目撃者探し

Posted November. 19, 2012 08:56,   

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「ひき逃げ『ブルドン(ブロックボックス動画)』は、少なくとも数百万ウォンは受け取ることができます」。

新しく購入したブラックボックスを取り付けようとしていたキム某氏(51・会社員)は、ブラックボックスの販売会社から、面白い話を持ちかけられた。運転中に事故現場を目撃すれば、車のブラックボックスに撮られた動画を、ネット上で販売できるという。販売会社の職員は、「事故規模によって値段は変わりうるが、顧客サービスのために、事故動画を、代わりにネット上の販売サイトに掲載することもできる」と話した。

●垂れ幕は去り、「ブルドン」時代に

タクシーやバスはもとより、一般車両にまで、「ブラックボックス」を取り付けることになり、販売台数が150万台に迫り、この装備が交通事故の目撃者の役割まで果たしている。かつては、交通事故の当事者らが目撃者を探すため、事故道路周辺に垂れ幕を掲げて、連絡を待つやり方だったが、最近は、現場の画面が盛り込まれているブラックボックスの動画を探す方法へと変わっている。事故場面が撮られている画像は、過失有無を正確に判断するのはもとより、ひき逃げ犯の逮捕にも決定的な証拠になりかねない。そのため、動画がネット上で取引されることまで起きている。

最近は、「事故動画の販売仲介サイト」まで相次いで登場している。これらのサイトは、目撃者と事項当事者とを引き合わせて手数料を受け取るやり方で運営されている。目撃者である動画販売者の身元は保障される。

仲介サイトでは、軽い接触事故やひき逃げはもとより、手当たり次第に車のドアに傷をつけるいわば「テロ」画像、道端で起きた犯罪映像まで販売している。決済さえすれば、これらの動画をリアルタイムでダウンロードすることもできる。「ブルドン」と呼ばれるこの画像は、10万ウォンから多くは数百万ウォンで取引される。罪もないのに加害者に仕立てられた人たちには、「呼ぶのが値段」になることもありうる。実際、慶尙南道馬山(キョンサンナムド・マサン)で起きた4重追突交通事故の目撃者は、事故動画を提供する見返りとして、600万ウォンを要求してきた。

ある仲介サイトでは、△画像の品質がよいか、△決定的な手がかりなのか、△事件の始まりから目撃したか、参画加害者の顔を識別できるか、△車種を識別できるかなどのチェックリストによって、値段をつけている。目撃者がおらず、気をもんでいる被害者たちも、事件の日時や場所を公開し、動画を探す書き込みを掲載するケースもある。

最近、新たにオープンしたほかのサイトは、「先端映像処理手法を活用して、ブラックボックスの動画にうっすらと撮られた車の番号まで読み取ることができる」とPRしている。これらの仲介会社は、「文化体育観光部から、『著作権仲介サイト』という認定を受け、法的問題などない」と明らかにした。ある仲介サイトの代表は、「ダウンした動画は、警察署や保険会社に交通事故証拠資料の裏付け用として提出すれば、頭の痛い問題が簡単に解決できる」とし、「営業用タクシーはもとより、一般自動車まで、提供者が多様化しており、会員が増えている」と伝えた。

●金稼ぎの手段に転落する恐れも

事故現場の動画売買が活性化され、副作用を懸念する声も出ている。特に、一部の販売者らは、購入者の弱みにつけ込んで、高い価格を示しており、「ブラックボックスが金稼ぎの手段に転落するのでは」という指摘も出ている。先日、路地での軽い接触事故に巻き込まれたユン・ヨンギョンさん(36)は、「ネット上で何とか動画を手にし、加害者に仕立てられそうな状況から免れることができたが、販売者が私の苦しい立場に気づき、法外な値段を要求してきたので、折り合いをつけるのに苦労した」と主張した。

交通事故の処理を担当する一人の警察関係者は、「事故現場を裏付けるための用途として動画を売り買いすること事態は問題ないが、画像の保有者が提出を最後まで拒否すれば、警察官が連絡先を追跡し、任意での提出を要求したり、令状の発行を受け、強制に差し押さえることもできる」と強調した。



sun10@donga.com