民主党が来年度の済州（チェジュ）海軍基地の予算２９００億ウォンの全額削減を主張し、９日、国会国防委員会の処理を白紙化させた。同党の文在寅（ムン・ジェイン）大統領挙候補は８日、済州道を訪問し、「とりあえずは基地の工事を中止し、民主的な手続きを経て、事業内容を再検討する」と話した。文候補が先頭に立って、民主党がそれに従いながら、済州海軍基地問題に揺さぶりをかけている。
済州海軍基地の建設は、盧武鉉（ノ・ムヒョン）政権下の０７年６月に確定され、１０年から工事が開始された。盧前大統領は当時、「済州海軍基地は、国家安保のための必須要素だ」として、一部の反対を一蹴した。文候補は０７年、大統領秘書室長として、盧前大統領の主要決定を補佐した。文候補は今年７月も、「済州基地は国家安保上利益のために必要だ」と述べているが、基地反対勢力の影響を受け考え方が変わったようだ。基地工事中止発言の１週間前、東海の南北出入事務所を訪れ、「安保を最もうまくやりこなせる候補だと自負している」と主張したのは、果たしてどんな意味だったのか聞きたい。
２年前の天安（チョンアン）艦沈没事件や延坪島（ヨンピョンド）砲撃からもわかるように、北朝鮮は主に、海上から攻撃を仕掛けてくる。北朝鮮の挑発を有効に食い止めるためには、済州基地を建設し、数ヵ所に散在している海軍戦力を統合配置しなければならない。済州基地は、中国や日本の海軍力増強に備えても急がれている。中国の胡錦濤国家主席は８日の共産党党大会で、「国際的なプレゼンスに見合い、国家安保や発展利益に見合う強力な軍を建設するのが戦略的任務だ」と強調した。今後、領土をめぐる対立に強く立ち向かうというメッセージだ。現在、イージス艦６隻を保有している日本は、２万トン級のヘリ搭載護衛艦を準備し、海軍力増強に力を入れている。
文候補の基地建設中止方針は、安保意識に疑問を持たせる。済州基地は、独島（トクト）や離於（イオ）島海域を守り、貿易大国の輸出入物量が行き来する航路を守るための最南端の海軍基地だ。北朝鮮が、文候補について「次期大統領として最も適している人物だ」とおだてているのが軟弱な安保公約のためなら、それこそ大変なことだ。無所属の安哲秀（アン・チョルス）候補は、「済州基地が国家安保のレベルで必要だという結論に、同意せざるを得ない」としながらも、「大統領になれば、再び傾聴し、謝罪したい」と語った。民主党や文候補よりは進展したものだが、反対勢力からも悪く言われないためのもののようで、中途半端な気がする。
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