ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今年３月、３度目の政権の座についた後、大衆集会で涙を見せた。情報機関出身の冷静さに野生美を誇示してきたプーチン氏が涙を流したことに対し、「あんな男でも泣くのか」という反応が出た。０８年、米大統領選挙で、民主党候補選びの選挙に立候補したヒラリー・クリントン長官は選挙強行軍について、「髪の手入れは誰から手伝ってもらっているのか」と尋ねられると、「容易ではない」と目頭を熱くした。ヒラリーキャンプは、米国版鉄の女が、あれほど願っていた人間的様子を見せたと喜んだ。政治家が泣くのは、子供が関心を集めるために泣くのと似ている、という分析がある。
◆盧武鉉（ノ・ムヒョン）前大統領と与党セヌリ党の朴槿惠（パク・グンヘ）大統領選挙候補は、「涙の政治」の恩恵を受けたことがある。盧前大統領は０２年、民主党大統領選挙候補の時、３位にとどまっていた上、党が分裂した絶望的な状況で、俳優の文盛瑾（ムン・ソングン）からの支持演説を聴きながら涙を流したが、その姿がテレビ広告として制作され、人間性を強調するのに役立った。朴槿惠候補は０４年、総選挙を控え、ハンナラ党が核と「裏資金」関連問題で苦しかった時、党事務所としてテントを張り、新たなスタートを切る感想を述べる涙のテレビ演説で、予想外の善戦を引き出した。
◆政治家の涙も、ありふれると嫌気が差す。民主統合党の文在寅（ムン・ジェイン）大統領選挙候補は、１ヵ月間に２度も泣いた。先月２１日、双龍（サンヨン）自動車解雇労働者の家族らと会って、彼らの話を聞いて泣く時までは、「感性的候補」という気がしたが、最近の映画「光海、王になった男」を見ながら涙を流したというニュースには、むしろ「感傷的な候補」という気がする。男性も年を取れば、女性ホルモンが分泌され、簡単に涙を流すという。中年男性なら、あえて政治家でなくても、人前でテレビドラマや映画を見ながら泣いてはだめだと、気をつけなければならない。
◆李明博（イ・ミョンバク）大統領は１０年、哨戒艦・天安（チョナン）艦沈没事件の告別式会場での追悼演説の途中、込みあがってくる感情を抑えきれず、涙を流した。冷たい海の下に部下を葬った国軍統帥権者としての惨憺たる心情を表したものだったが、威厳を示すことができなかったと、一部から批判を受けた。ヒラリー長官は涙のため、支持率を一時挽回したが、「大統領になるほど強くない」という印象を与え、結局敗北した。共和党のジョン・ベイナー下院院内代表は、貧しかった幼い時代を振り返りながらたびたび涙を流したために、泣き虫という異名を得た。政治家の涙は必ずしも得になるとは言い切れない。
宋平仁（ソン・ピョンイン）論説委員 pisong@donga.com
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