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[オピニオン]お化粧する男

Posted September. 21, 2012 07:47,   

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事業を開始したばかりのA氏(51)は、大手企業の最高経営者(CEO)として働く先輩に会って、「肌の管理から先に始めなさい」と面と向かってとがめられた。「このごろ、つかれ切ったかさかさした顔で歩き回る社長と、誰が取引をすると思うか」ということだった。髭をそってから化粧水すら余りつけたことのないA氏は、先輩と別れた後、その足で化粧品店に立ち寄り、マスクパックやヘア用品を買い求めた。

◆市場調査機関・ユーロモニターインターナショナルは昨年、韓国人の男性が化粧品購入に支払った金額は計4億9550万ドルと、世界の男性化粧品市場の21%を占めたと発表した。AP通信は、「成人男性の数が1900万人に過ぎず、家父長的な文化を持っている韓国が、世界の男性化粧品市場の首都となっている」と感心した。「マッチョ」の韓国人男性たちが変わったのは、1990年代に入ってからだ。1997年、ソマン化粧品から「ハナを手にした男」という名のカラーローションが登場し、02年の韓日共催ワールドカップのスター、安貞桓(アン・ジョンファン)などの「イケメン」スターが脚光を浴びたことを機に、お化粧する男の時代に差し掛かった。最近は、デパート化粧品売場の売上の30%ほどが、男性向け製品だ。男性客を相手にする男性職員まで登場している。

◆羽根やたてがみのような華やかな飾りをしたオスは、自然界ではよく目にできる。チャールズ・ダーウィンは、雄の孔雀の華麗な尾の羽を、性選択(sexual selection)の結果だと主張した。雄が交尾で選ばれるために、メスが好む華麗な尾の羽を子孫に引き継がせたと主張している。雄が交尾のため、生存に不利な煩わしい尾の羽の危険まで甘受するというハンディキャップ(短所)理論も出ている。韓国社会で、女性の社会的プレゼンスが高まり、女性が好む外観を整えるために、男性がお化粧をするという論理とつじつまがあっている。

◆韓国男性のお化粧も、外観至上主義や激しい競争社会で生き残るために必要な生き残り戦略だ。60代の公共機関のCEOは、オフィスの外に出るときは、必ず日焼け止めクリームをつける。紫外線に露出し、しみでもできたら、引退しなければならない者に映ることを気にしているからだ。若く見えるために、毛染めするのはすでに当たり前のことになっている。韓国企業の平均定年基準は57.4歳だが、実際、職員らが退職する平均年齢は53歳だ。就職難や早期引退のプレッシャーが日常的なことになっている時代、変化に抵抗するための男性たちの進化が、お化粧する男性たちの時代を作り続けている。

朴湧(パク・ヨン)論説委員 parky@donga.com