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顔面奇形児3000人が笑顔を取り戻した、ベトナムの韓国天使たち

顔面奇形児3000人が笑顔を取り戻した、ベトナムの韓国天使たち

Posted September. 21, 2012 07:47,   

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ベトナムのホーチミンから車で丸3時間を走ってたどり着いたヴィンロン総合病院の廊下には、子供患者でごった返していた。SKテレコムと世民(セミン)顔面奇形を助ける会、ベトナム108国軍病院が共同で取り組んでいる顔面奇形児無料手術事業の対象に選定された子供たちだった。唇と歯茎が割れたり両眼の大きさの不揃いが酷く顔面が崩壊した子供と保護者たちは、クーラーどころか扇風機の1台もなく蒸し返る廊下で一日中順番を待っていた。

だが、手術室前の廊下を行き来している韓国医療スタッフを見つめる彼らの眼差しは希望に輝いていた。貧しくて病院には一度も行ったことがない彼らにとって、今度ばかりは笑顔を取り戻せる最後のチャンスだからだ。

●休暇の変わりに選んだ奉仕

ベトナムには口唇口蓋裂など顔面奇形の患者が数え切れないほど多い。医療水準が遅れている上、保健衛生への意識も薄いため妊娠中に薬や食べ物の摂り方を間違えて病気になるケースが多いからだ。その日暮らしが精一杯の人々にとって、出産前に病院を訪ねて胎児の健康状態をチェックすることなど想像もできないことだ。

このため、ペク・ロンミン盆唐(プンダン)ソウル大学病院副院長を団長に、整形外科と麻酔科医師の17人と看護師4人、医学生とボランティアら計39人で結成された医療奉仕団は8泊9日の間、毎日30件ずつの手術に追われ、話しかけるのも気がひけるくらい忙殺されていた。午前8時から午後5時まで続く強行軍に耐える体調を保つため、医療スタッフたちは日課後の夕食でも気軽に一杯することさえ控えていた。

きついスケジュールで顔はむくんでいたが、奉仕団のメンバーたちはエネルギーに溢れていた。パク団長と白(ペク)病院で一緒に勤務していた縁で10年前からベトナムを訪れているユン&整形外科のユン・インデ院長は、「奉仕活動の期間が整形外科としては書き入れ時の大学の夏休みと重なるけど、子供たちを一度でももっと抱いてあげて一緒に笑いたい気持ちから、喜んでベトナム行き飛行機に乗った」と晴れた笑顔で語った。ペク団長をはじめ相当数のスタッフらは、所属している病院で休暇を取って奉仕活動に参加していた。

●SKテレコム、ベトナムへの一途な愛

愛を告白することはさほど難しいことではない。しかし、それがどれだけ本気なのかは、時間が確認してくれるものだ。その点で、1996年に始めて以来、1年も欠かさずSKテレコムと世民顔面奇形を助ける会が取り組んできたベトナムの顔面奇形児への無料手術奉仕は、本当の愛と言えそうだ。

ペク団長は、「ベトナムでの奉仕活動を途切れることなく続けてこれたのは、全的にSKテレコムのお陰だ」と言い切った。SKテレコムは、ペク団長の実兄で、世界的な整形外科医師である白世民(ペク・セミン)博士(元ソウル大医学部教授)がベトナム医療奉仕活動を始めた1996年から財政面の支援を続けている。開放したばかりのベトナムの将来を見込んで民間交流の種を撒く気持ちで、白博士兄弟の医療奉仕活動にかかる費用全額を支援することにしたのだ。

SKテレコムは、その後、通貨危機やグローバルな金融危機などで危うい時期も何度かあったが、医療奉仕への支援は一度も途絶えたり削減していない。他の費用は削減しても、同じ年頃の子供たちと見かけが違うために深い傷を抱えている子供たちを助けることを中止するわけにはいかなかった。

ペク団長をはじめ医療奉仕団のひたむきな取り組みも、SKテレコムのそれに劣らなかった。奉仕団は、手術の際の執刀は必ず専門医が行い、医学生はもちろん国内ではたまにメスを握って経験のある専攻医たちでも、手術室では補助の役割だけに限定するなど、各自の役割を明確にした。ベトナムの患者たちは、事後管理が難しいだけに、事実上1回だけの手術で最高の、しかも完璧な結果を出さなければならなかったからだ。

こうしたSKテレコムと奉仕団の取り組みは、現地で高い評価を受けている。ベトナム医療スタッフを率いてヴィンロン医療奉仕に参加した軍医官のブウンオクラム大佐は、「手術能力が優れて誠実な韓国医療スタッフと一緒に仕事することは、医師としては大きな幸運だ」と言い、「このプログラムが今後も長く続くことを希望している」と話した。

ベトナム政府は、SKテレコムの現地での社会貢献活動を高く評価し、2008年、金信培(キム・シンベ)SKテレコム社長(現SKグループ副会長)に外国人に与える最高の勲章である「ベトナム社会主義共和国国家友好勲章」を授与した。

●17年間、3000人が笑顔を取り戻す

韓国とベトナムとの国交20周年に当たる今年、奉仕団は特別な一人の患者を迎えた。生まれたときから口唇と口蓋が裂かれる口唇口蓋裂を患っていた生後13ヵ月のレティファンクィンちゃんが、17年間ベトナムを訪ねている韓国医療奉仕団の3000人目に患者となったのだ。

赤ん坊の母親ツンティWランさん(20)は、「裂かれた唇の間から牛乳が零れ落ちるのを見ながらつらい思いをしたが、医療費のため手術を受けさせることは想像もできなかった」と話した。娘の顔面奇形のため、夫の実家とも隙が生じたという母親は、手術が無事終わった後、韓国医療スタッフたちにしきりに頭を下げて感謝の気持ちを伝えようとした。

手術を受けた子供患者と親たちは、これ以上顔のことで周りにからかわれなくなったことを一番喜んだ。右目の瞼が非正常的に垂れる眼瞼下垂で手術を受けたカオニョックウィンさん(14)は、「これで学校でもいじめられる心配はなくなった」と喜んだ。科学科目が一番好きだという彼女は、「医師になって自分のように痛みを抱えていながらも、病院に行けない子供たちを助けたい」と話した。

SKテレコムは、ベトナムの子供たちを助けることへの参加を呼びかけるため、フェイスブック、ツイッター、ミートゥデーなどのソーシャルメディア(SNS)で「幸せなソーシャル寄付」キャンペーンを展開した。ユーザーたちがSNSにベトナムの顔面奇形児を応援する意見を書き込んだりシェアする度に1000ウォンずつを積み立てて800万4000ウォンを集めた。このお金でかばん、学用品セットを買って再出発するベトナムの子供たちに祝賀する贈り物で配った。



dawn@donga.com