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[社説]三星も韓国も口惜しい、「アップルの肩持ち」した米陪審団の評決

[社説]三星も韓国も口惜しい、「アップルの肩持ち」した米陪審団の評決

Posted August. 27, 2012 07:11,   

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米カリフォルニア州北部地方裁判所の陪審団は25日、三星(サムスン)がアップルのデザイン特許や商用特許6件を故意に侵害したとして、計10億4934万ドル(約1兆2000億ウォン)の損害賠償を決定した。陪審団は、三星のほうで、アップルが侵害したと主張した通信標準特許などの5件は、全て特許侵害を認めず、アップル側に一方的な勝利を与えた。

米陪審団がアップルの方の軍配を上げた「丸い角の四角形」のようなアイフォンやアイパッドのデザイン特許は、欧州や韓国裁判所では認められなかった権利だ。英裁判所は、三星のギャラクシータブが、アップルのデザインを侵害しなかったという判決したのに続き、アップルの英ホームページにこのような内容を公開せよと命じた。04年前から出てきた50あまりの製品やデザインを基に、アップルデザインの大半は独創性が足りず、初期のタブレット製品でよく見られる部分だと決定した。ドイツやオランダ、韓国の裁判所でも、アップルのデザイン権利を認めなかった。

米陪審団は、評決指針だけで109ページに上る複雑かつ膨大な訴訟評決を、22時間で迅速に済ませ、他の国の裁判所とはかけ離れた結論を下した。かつて、グーグルやオラクル特許訴訟では、評決を下すのに1週間も掛かったことに比べれば、異例のことだ。損害賠償額の根拠を巡り、議論も起きている。ベルビン・ホーガン陪審団長は、「我々は公正だったし、評決に自信がある」と主張した。しかし、アップル本社周辺の住民で構成された陪審団が、専門性が求められる特許訴訟で、外国企業への差別や自国企業への心理的偏向を克服し、どれほど専門的決定を下したかは疑問となっている。

世界IT業界では、今回の特許訴訟を、スマートフォン市場で急成長した後発走者の三星へのアップルの牽制と見ている見方多い。三星は、米スマートフォン市場で23%を占め、トップについている。英経済専門誌、エコノミストは、アップルが訴訟を通じて、競争や消費者の選択権を制限しようとしていると批判した。ネットユーザーらは、「全ての車輪は丸い。アップルが車を開発したなら、四輪で動く交通手段は利用できなかったはずだ」として、アップルのデザイン特許訴訟を皮肉った。

企業が膨大な資金を投資して確保した知的財産権は保護しなければならない。しかし、国際的共感を獲得できない些細な技術やデザイン一つにまで、ことごとに特許を出し、独占しようとするなら、消費者の選択や企業の革新は制限を受けるだろう。市場という土俵の外で行われる膨大な法廷訴訟コストは、消費者らの負担になって回ってくることになる。

世界的経済危機の中で、特許紛争や自国企業を保護する性向は強まるだろう。世界の複数の国で競争している韓国企業への牽制も、激しくなる可能性が高い。今回の出来事を、「特許戦争」に警戒するきっかけにすべきだ。製品を生産し、輸出後に特許を巡るトラブルが起きれば、事後交渉で解決してきたかつての安易なやり方は捨てるべきだ。製品開発段階から、関連特許について詳しく分析し、隙間を最小化する「特許経営」にとりわけ気を使ってこそ、各国の裁判所で味方の肩を持つ特許訴訟を食い止めることができる。