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[オピニオン]木造船

Posted August. 21, 2012 09:12,   

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亀甲船(コブクソン)は「世界初の鉄甲船」であると知られているが、木造船だったという反論も根強い。鉄甲船であることを裏付ける史料がなく、亀甲船が「飛ぶように早かった」という昔の記録を考慮すれば、鉄で作った無動力船が、木造船より早かったはずがないという。当時の技術では、鉄が海水に腐食することを食い止めることも難しかったという主張もある。亀甲船は、デッキの上に丸い蓋をつけ、鉄の針を刺して防御力を高めた。朝鮮水軍の主力艦の板屋船より、船体が小さいが、その代わり、早いスピードを出すことができた。木造船でも、16世紀の軍船としては独歩的存在に違いない。

◆最近は、木造船を目にすることがなかなか難しい。木は折れやすい上、燃えやすく、軍艦はもとより、漁船を作る時も、主材料として使われるケースは珍しい。普通の小型漁船も、軽くて丈夫な上、耐食性と成形性の優れたガラス繊維強化プラスチック(FRP)のような新素材で作る。木造船は、鋸やのみ、かんなのような基本的大工工具さえあれば作ることができ、小さな漁村で近海漁をしたり、養殖場を行き来する時に使うぐらいだ。

◆北朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が、砲撃で延坪島(ヨンピョンド)攻撃を主導した軍部隊を訪問する際、古びた非武装木造船に乗っていた写真が公開された。労働新聞は、この場面を指して、「兵士への愛」という表現を使っている。燃料が足りず、低動力の木造船を多く乗り回している北朝鮮兵士らの気の毒な現状を慰めたという意味として受け止められる。写真を分析した韓国海軍の関係者は、「中古の漁船を改造し、近距離での兵力輸送用として作った船のようだ」とし、「火災に弱く、小銃での攻撃にも耐え切れない木造船を、軍用船舶として使うというのは常識外れのことだ」と主張した。韓国海軍が同じ目的で使っている人員輸送艇(YUB)は、FRP材質の上、軽武装している。

◆07年5月、北朝鮮の住民4人が、長さ7.8メートル、幅1.8メートルの木造船に乗って、清津(チョンジン)港から脱出し、6泊7日間の死闘の末、日本沿岸に到着した。船の中で、北朝鮮当局に摘発されることに備えての、自殺用毒物が見つかった。その後、木造船1隻に、家族全員の運命をかけ、海上での脱北を試みる人たちが後を絶たなかった。昨年だけでも、6度に渡り、計46人の北朝鮮住民が、東海(トンへ)や西海(ソヘ)、日本を経て、韓国に来ている。飢えに苦しむ庶民から元最高人民会議議長の孫まで、その階層も多岐に渡っている。古い木造船が世襲王朝を守る軍隊や、その先軍王国を脱出するボートピープルの必需品となっている。

李亨三(イ・ヒョンサム)論説委員 hans@donga.com