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[オピニオン]歌手リ・ソルジュ

Posted July. 27, 2012 04:43,   

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中国共産党の実力者、毛沢東と周恩来は、熱烈なバレーファンだった。特に周恩来は、中国バレーの生みの親である。ロシアの指導者を招待して舞踊家を育成し、1950年代に「白鳥の湖」などの西洋の作品を公演した。その後、周恩来は、中国の革命ストーリーを歌劇で制作した。代表的な作品が「紅色娘子軍」で、海南島の女性たちが起こした反封建闘争を扱った。1972年、米国と中国の歴史的な国交正常化のために北京に到着したニクソン米大統領は、周恩来とともにこの歌劇を観覧した。

◆北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記も芸術に多大な関心を持っていた。金総書記が22才の時に初めて担ったのが「文化芸術指導」だった。金総書記は、「花売り娘」など革命歌劇を制作し、数曲の歌を作曲したという説もある。中国新華社通信の北朝鮮専門記者である高秋福氏は、最近出した著書『金正日と朝鮮』で、北朝鮮の音楽に注目した。高氏は、「北朝鮮のいかなることも音楽を越えることはできない」とし、音楽を北朝鮮の最高の統治手段と規定した。金日成(キム・イルソン)王朝の偶像化や北朝鮮住民の洗脳作業に音楽が積極的に動員されているということだ。

◆北朝鮮に拉致され、8年間抑留された映画女優の崔銀姫(チェ・ウンヒ)氏は回顧録で、北朝鮮で主な公演がある時は幹部が必ず参加すると証言した。金総書記がふるまう酒の席にも、若い女性で構成された演奏団が動員される。芸術家と近かった金総書記が舞踊家出身の高英姫(コ・ヨンヒ)氏を夫人にしたことは自然な結果だ。金総書記と高英姫氏の間に生まれた北朝鮮の新指導者、金正恩(キム・ジョンウン)氏の夫人の名前がリ・ソルジュであることが確認された。国家情報院は26日、リ・ソルジュ氏が中国で声楽を専攻したと明らかにした。北朝鮮の動画資料には、2011年の新年音楽会の時、リ・ソルジュという歌手が歌を歌うシーンがある。顔形から同一人物とみえる。

◆金正恩氏は、文化芸術に早くから接した可能性が高い。元歌手の夫人が金正恩氏の芸術的一面をうかがわせる。中国は1960年代、文化大革命の時、芸術をただ革命の道具と認識した。しかし毛沢東の死去後、中国は過ちに気づき、芸術の創意性を重視する方向に旋回した。その後、改革開放を通じて、今日屈指の経済大国となった。金正恩氏の芸術的関心が北朝鮮の将来にどのように作用するだろうか。

洪賛植(ホン・チャンシク)首席論説委員 chansik@donga.com