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27億件のサイトを保存するIA、放通委は旧情通部の記録を全部削除

27億件のサイトを保存するIA、放通委は旧情通部の記録を全部削除

Posted July. 25, 2012 05:36,   

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1994年から08年にかけて、韓国の情報技術(IT)産業を取り仕切ってきた情報通信部(情通部)は、もはやネット上には存在しない。いかなる検索エンジンでも、情通部のホームページを検索することができない。さらに、旧情通部が運営していたソーシャルネットワークサービス(SNS)「サイワールド」の「情通部のブログ」に掲載されていたコンテンツすら、全て消えてしまった。

08年2月に発足した放送通信委員会(放通委)は、旧情通部のネット上の記録を全て削除した。「旧情通部の機能が放通委や知識経済部、行政安全部、文化体育観光部へと分散され、担当省庁に所管資料が移されためだ」という説明と共に、ウェブサイトは存在しないが、その資料は個別省庁が保管しており、希望するなら資料を探すことができるという。

しかし、国民はネット上での情通部の記録が消えてしまい、かつての情通部がいかなる資料を持っているか知るすべがない。ネット上の記録をないがしろにしてきた韓国インターネットの現実だ。

●ネット上だけに存在する資料を保存

「こことオランダのアムステルダム、エジプトのアレクサンドリア図書館にわたって、3ヶ所に同じデータが分散して保存してあります。しかし、これだけでは足りません。6ヶ所に増やすのが目標です」

インターネット・アーカイブ(IA)の創始者、ブルースター・ケール氏は先月30日、米サンフランシスコの事務所で東亜(トンア)日報の記者と会って、「次世代に毀損していない知識をできるだけ多く残すために、このことを始めた」としたうえで、インターネット・アーカイブの役割について説明した。

インターネット・アーカイブとは1996年、米サンフランシスコに設立された一種のオンライン上記録の保管室だ。本や新聞、フィルムなどのほかの媒体に記録されないまま、ネット上だけに掲載された、言わば「デジタルオンリー(digital only)」情報をかき集め、コンピューターにバックアップさせることをしている非営利組織だ。

1990年代前までは、人類が生産した大半の知識は、本や印刷物、フィルムの形で、図書館に保存されてきた。しかし、ネットの発達と共に情報がコンピューターに保存され、危険が生じた。デジタル情報は、予期せぬ瞬間に電気の供給ができなくなったり、ハッカーの攻撃や巨大な磁気嵐などにより簡単に損傷するからだ。ケール氏は「このようなことがおきれば、人類は再び後戻りするのではないか気になった」と話した。

ケール氏は世界最大手のネット順位サイト「アレクサドットコムや初期検索エンジンだったワイズ(WAIS)の創業者でもある。ワイズをアメリカンオンライン(AOL)に、アレクサドットコムを電子商取引会社のアマゾンに売りつけ、億万長者になると、その金で公益的仕事をしたいと思い、立ち上げたのがインターネット・アーカイブだ。

インターネットアーカイブはこれまで、世界14ヶ国・数千ヶ所の公共機関や大学、図書館などが寄贈してきた約27億件のウェブサイトを保存してきた。また、紙でできた本やフィルムなどが、時間の流れと共に傷つくことに備え、本や新聞、映画や音楽などをデジタルに変換させ、保存している。昨年からは、このように保管したデジタル資料が、万が一損傷する場合に備え、発売される紙の本は、1冊ずつ寄贈を受けたり、購入した後、貨物コンテナに保存している。ノアの箱舟のように、インターネットアーカイブを「知識の箱舟」に作ったのだ。

●世界がネット記録の保存に努力

インターネットアーカイブのこのような試みが社会的に注目を集めると、米政府も乗り出している。00年から、米議会図書館は、「米大統領選挙」と「イラク戦争」のように、特定テーマに関するウェブサイトを検索し、ネット上だけに存在する資料を別途保管し始めている。

03年は、フランス国立図書館の主導で、世界各国の図書館が提携し、「国際インターネット保存コンソーシアム(IIPC=International Internet Preservation Consortium)」も立ち上げた。欧州各国の図書館を始め、世界42ヶ国の国立図書館がメンバーとなっている。

韓国国立中央図書館も08年、IIPCの正会員となった。しかし、国立中央図書館のオンライン上資料は、まだ大変少ないのが現状だ。昨年、国立中央図書館のオンライン上のデジタル資料保存事業「オアシス」(oasis.go.kr)は、計13万3834件の資料の追加収集に止まっている。これは10年の15万1087件よりかえって減った数値だ。米インターネットモニター会社・ピングダムによると、昨年新たに作られたウェブサイトだけでも、世界で3億件を越えている。



sanhkim@donga.com