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[社説]統計庁、政治と世論の統計の誤りを正さなければ

[社説]統計庁、政治と世論の統計の誤りを正さなければ

Posted July. 20, 2012 04:07,   

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大統領候補が出馬宣言文や各種インタビューを通じて自己主張する際、でたらめな統計数字を引用するケースが少なくない(東亜日報7月19日付)。孫鶴圭(ソン・ハクキュ)民主党常任顧問はある講演で、大企業の雇用実態に言及し、2010年の大企業の雇用比率を8.2%と発言した。しかし、正しい数字は14.5%で、大きな差がある。朴鉂瑩(パク・ジュンヨン)全南(チョンナム)知事は、韓国を「先進国の中で食糧自給率が最も低い国、幸福指数が最も低く、若者の失業率が最も高い国」と発言したが、すべて事実と異なる。丁世均(チョン・セギュン)、金栄煥(キム・ヨンファン)民主党議員、金台鎬(キム・テホ)セヌリ党議員、金斗官(キム・ドゥグァン)前慶南(キョンナム)知事らが引用した統計も、事実と異なる事例がある。有権者の注目を引かなければならないという目的が先行したため、事実と異なる統計が検証なく引用されたのだ。

統計が誤っていたり、統計の引用が正確でなければ、弊害は大きい。雇用労働部は今年4月、中長期人材需給展望資料を発表し、「全国の医師の数が、10年の4万7000人から20年に7万7000人に増加する」と見通した。しかし、保健福祉統計によると、10年にすでに約8万2000人の医師が働いていた。雇用部統計は、医師のほかにも約20の専門職で実際と異なる数値を提示した。この統計は、教育現場で学生の進路を指導する際に使われる資料だ。誤った統計が、学生の進路を誤った方向に導く恐れがある。

昨年、黄祐呂(ファン・ウヨ)議員は5年前の統計を基に、「授業料半額」論議に火をつけた。黄議員は、経済協力開発機構(OECD)国家の国内総生産(GDP)対する高等教育の財政が1.2%なのに、韓国はわずか0.6%だとして半額を提案したが、これは07年の数字だった。その後、韓国の高等教育の予算は急増し、07年の4兆ウォンから昨年には6兆ウォン台に達した。07年の政府の不動産価格安定対策が市場で無力だったが、その理由の一つが統計解釈の誤りだったことが明らかになった。政府も誤りを認めたが、すでに住宅価格が暴騰した後だった。

統計の誤りも問題だが、誤った統計解釈や偏った統計の引用も問題だ。真実を明らかにするためではなく、主張を後押しするための目的で、考えに合った統計だけを提示する場合、誤りを生む。国の塩加減をみるには、なべ(母集団)をすべて飲む必要はなく、一さじ(標本)だけ味見すればいいが、汁をよくかき混ぜなければ(標本の無作為性と代表性)正しく味つけすることはできない。

でたらめな診断をしては正しい治療ができないように、国家の統計が不十分だったり、歪曲して引用されれば、国政は漂流する。大統領になるという人々が誤った統計を基にあれこれ約束をし、それが政策化した場合、国と国民生活を誤った方向に導く。さらに誤った統計は、国民の判断を曇らせ、世論を歪曲し、国民の政治的選択を誤った方向に導く恐れもある。

韓国は人口100万人あたり統計企画・分析人材が9人で、ニュージーランド245人、オランダ159人、カナダ139人に大きく劣る。韓国統計公務員の人材の大半を現場調査員が占めているためだ。内容が敏感な統計が出た場合、発表を控え、上級省庁の顔色をうかがう慣行も依然としてある。統計専門家が統計庁長になるのではなく、企画財政部の役割のように考えられているのが実情だ。

政府は正しい統計を生産し、国民に知らせる義務がある。このため統計人材の質と量を確保しなければならない。各省庁や公共機関が生産する統計の品質を高め、信頼性を確保できるよう統計庁は国家統計に対する調停権を積極的に発動しなければならない。大統領選挙を目前にした時に、政界が誤ったり、一方的な統計を流布する場合、統計庁が一定の期間に誤りを正して公開することも検討する必要がある。