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「安価で安全」 インドで代理母を求める不妊夫婦たち

「安価で安全」 インドで代理母を求める不妊夫婦たち

Posted July. 19, 2012 07:31,   

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主婦のAさん(36・女)は昨年、慢性腎不全のために妊娠が難しいという診断を受け、代理母を探し始めた。しかし、国内代理母たちは法外な金額を要求した。また、手付金だけを手にし、行方をくらますケースもあった。

Aさんが目をつけたのはインドだった。インド政府は、代理母手術を奨励しており、その手続きも体系的でコストも安いということを知人から聞いたからだ。受精卵をそのまま移植し、代理母からは子宮だけを借りるので、混血児が生まれる可能性もなかった。Aさんは18日、東亜(トンア)日報記者との電話のなかで、「腎臓移植の手術のため、契約直前にインド行きを諦めたが、手術後も妊娠が難しければ、インドへ行って代理母出産をするつもりだ」と話した。

●ネット上のコミュニティを通じて代理母を探す

代理母を求め、インド行きを試みる人は、Aさんだけではない。インド旅行に関する情報共有のために開設されたネット上コミュニティ「ウェルカム・トゥインディア」の医療観光掲示板には、代理母関連の問い合わせが月に10数件も掲載されている。手術の後遺症のため習慣的に流産した経験があったり、高齢出産による危険性を避けようとする女性がほとんどだ。

記者が不妊夫婦を装って相談したところ、インド現地のブローカーは、医療費や書類作業などの手数料として、4000万ウォンを要求した。このうち、代理母に渡る金は860万ウォン程度であり、「7000万〜9000万ウォンの高い呼び値がつく韓国代理母よりは低コストで済む」というのが、ブローカーの主張だった。

代理母出産は、国内病院に冷凍保存されている受精卵をインドに送り、代理母の子宮に移植させた後、9ヵ月後に赤ちゃんを取りに行く方式で行われる。ブローカーは、「成功率を引き上げるためには、代理母2人に受精卵を移植し、一人の胎児は中絶すればいい」と耳打ちした。

●低コストや秘密保持などが強み

韓国でも、子宮のみ貸す代理母妊娠は合法となっている。現行の生命倫理法は、「財産上の利益のために、精子または卵子を提供してはならない」と定めているが、受精卵のみを代わりに育てる代理母手術に関する制裁はない。

にもかかわらず、不妊夫婦がインドに関心を持つ最大の理由は、代理母に対する謝礼コストが、米国などの先進国より低いからだ。インド政府が代理母手術を奨励していることも強みとなっている。02年、インド政府は代理母手術を合法化した後、インドでは600あまりの専門病院で、代理母営業を行っている。インド政府も、出産経験が5回未満の35歳以下の代理母のみ、手術を受けることができるよう、資格を制限している。

また、代理母の医療保険加入を義務付けるなど、胎児の安全に向けた措置をまとめ、不妊夫婦を引き寄せている。代理母手術に対する否定的な視線も、韓国不妊夫婦のインド行きに影響を及ぼしている。今年1月、保健福祉部が実施した「命の分かち合いに関する認識度調査」の結果、回答者1000人のうち85.3%が代理母妊娠に否定的だった。Bさん(31・女)は記者に対し、「代理母手術は倫理的ではないと受け止める空気のため、インド行きを決心した」と打ち明けた。

国内で代理母関連詐欺が頻発していることも、理由となっている。Cさん(24・女)は、「切羽詰った気持ちで、何とか代理母を探すことには成功したが、2度も手付金の詐欺を受けた」と主張した。Cさんは、酒やタバコは一切しないと言っていた代理母が、チェーンスモーカーであることを目にし、契約をキャンセルしたこともある。

●法的・倫理的問題は残っている

法務部によると、インドで生まれた子供を韓国につれてくるためには、代理母から受け取った赤ちゃんと養子縁組をし、帰化を申請しなければならない。しかし07年以降、この条件に該当する3歳未満の幼児は、一人もいなかった。

キム・ベッキュ・インド韓国人会会長は、「韓国人夫婦が適法な手続を踏まず、現地旅行中に直接子を産んだかのように、産婦人科記録を偽造し、大使館に出生届をしている」と耳打ちした。実際、インド現地のブローカーが記者に対し、電子メールで送ったコスト明細書には、「直接出産したという書類を作るために、追加で140万ウォンを払わなければならない」という内容が盛り込まれていた。

代理母手術が、生命倫理を害するという批判もある。「真剣に産婦人科を心配する医師たちの会」のスポークスマンであるチェ・アンナ氏(産婦人科専門医)は、「代理母ショッピングは、女性の体を出産道具に転落させ、命の商業化を図る風潮を助長しかねない」と指摘した。



becom@donga.com