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[社説]「経済大統領」は4年半の間、どこにいたのか

[社説]「経済大統領」は4年半の間、どこにいたのか

Posted July. 16, 2012 06:53,   

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李明博(イ・ミョンバク)大統領の実兄である李相得(イ・サンドゥク)前議員が、ソロモン貯蓄銀行の林錫(イム・ソク)会長からカネを受け取った容疑で拘束されたのに続き、大統領室の「門番」だったキム・ヒジュン大統領府・第1付属室長まで、林会長から金品を授受した疑惑がかけられている。キム前室長が起訴されば、大統領側近や親戚・姻戚の不正としては20番目、貯蓄銀行の不正としては6番目になる。大統領の従兄弟の妻の兄弟であるキム・ジェホン氏は、第一(チェイル)貯蓄銀行から金品を授受し、大統領側近である金斗宇(キム・ドゥウ)元大統領府広報首席秘書官や大統領職引継ぎ委員会で活動した金海修(キム・へス)元大統領府政務秘書官、殷辰洙(ウン・ジンス)元監査院監査委員は釜山(ブサン)貯蓄銀行からの収賄の罪に問われている。大統領の最側近や実兄までが貯蓄銀行不正のとばっちりを受け、「道徳的に完璧な政権」(李大統領の自画自賛)は、どん底まで墜落している。

李大統領は07年12月、いわゆる「BBK事件」のような政治的に大変不利な材料にも関わらず、530万票の差で当選した「経済大統領」だった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の国政失敗や不正による間接的利益もあったが、なによりも、「経済を立て直してほしい」という国民の願いが込められた結果だった。前政権のように分配論理に埋没して成長の足を引っ張ることのないような政策、腐った患部は切り取り、肉芽がすくすく盛り上がる公正な市場経済を国民が渇望した。持続可能な成長やバランスの取れた分配、生産的福祉の原則を建て直し、新しい希望を切り開いてほしいというのが、国民の願いであり大統領選挙で票を入れた人々の思いだった。李大統領も08年2月25日の就任演説で、「貧しくても希望のある国、倒れても再び立ち上がることのできる国、汗水たらして努力した国民なら、誰にも成功のチャンスが保障される国、そのような国を作る」と誓った。

経済大統領の夢は4年半で粉々になった。11年5月、李大統領は金融監督院を急きょ訪れ、制度や慣行を打破すべきだと叱咤したが、自身の実兄や秘書らが貯蓄銀行から黒いカネを受け取ったことには全く気付かなかった。大統領府の民情ラインにまで次々と側近を座らせ、側近不正の予防の役割は、最初からできそうもなかった。

貯蓄銀行は、金大中(キム・デジュン)と盧武鉉政権下で不健全化が始まった「パンドラの箱」だった。金大中政府は01年、相互信用金庫の預金保護限度を一般銀行並みの5000万ウォンへに引き上げ、02年は貯蓄銀行に名称を変更させた。盧武鉉政府は05年に貯蓄銀行の買収合併を認め、06年には優良貯蓄銀行に対する融資規制を撤廃した。規模の膨らんだ貯蓄銀行各行は、不動産バブルの中で、ハイリスク・ハイリターンのプロジェクトファイナンス(PF)融資に参入した。08年以降、貯蓄銀行各行の不健全化が急激に進んでいたのに、李明博政府は、グローバル金融危機や主要20ヵ国(G20)首脳会議などを口実に、構造調整を見合わせ、経営者や大株主に違法行為や不正の原因を提供した。政権初期に患部を切り取り、改革に踏み切るべきだった金融機関に、身内を座らせることに気を取られた。

李大統領が、経済現場にしっかり目を配り、適時に対応していたなら、昨今のような不正腐敗を招くことはなかったはずだ。汚水に手をつけず、バンカーで非常経済対策会議など主宰することでは、経済大統領にはなれない。G20(主要20ヵ国)議長国になったことにうぬぼれ、貯蓄銀行の患部を見つけ出し、大手術を行うべき時期を逸したのではないか。李政府初期に経済チームを率いた姜萬洙(カン・マンス)、尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)企画財政部長官、全光宇(チョン・グァンウ)、陳棟洙(チン・ドンス)金融委員長、朴炳元(バク・ビョンウォン)、尹鎮植(ユン・ジンシク)大統領経済首席秘書官は何をしたのか。大統領職引継ぎ委員会・引継ぎ委員出身の側近はいうまでもなく、貯蓄銀行の不健全化を監督し、対策をまとめるべきだった金鍾昶(キム・ジョンチャン)元金融監督院長が釜山貯蓄銀行からロビーを受けた疑惑に巻き込まれている。大統領経済首席秘書官を経験した与党セヌリ党の尹鎮植議員が、第一(チェイル)貯蓄銀行の柳東天(ユ・ドンチョン)会長から政治資金を受け取った容疑がもたれている。李政権の不幸が、どこから始まったのか分かるような気がする。

大統領府は、大統領側近や親戚関連不正が明るみに出るたびに、「検察による捜査を見守ってから…」と一歩下がったが、もはやそんな時間などない。本欄では、大統領側近や親戚の相次ぐ拘束を目にし、「李大統領は国民の前で正直に謝罪すべきだ」と要求したことがある。貯蓄銀行に関する側近の不正はなるべき覆い、親戚関連不正も同様に適当に防御しようとする安逸な考えでは、国民の憤りに火をつけるだけだ。

幸せ、夢、自由のような甘い公約を次々と発している与野党の大統領候補らは5年後、国民成功時代を約束した経済大統領・李明博の失敗を繰り返さないと約束できるだろうか。李明博政府の腐敗や不正、無能について後ろ指を差して批判ばかりするのではなく、謹んで自分自身に問いかけるべきだ。5年後、このような悲劇を繰り返さないのが、国民に真に夢や幸せを与える道だ。