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[社説」モバイル動員投票が民主主義を後退させた

[社説」モバイル動員投票が民主主義を後退させた

Posted June. 29, 2012 07:35,   

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民主統合党(民主党)の前身の大統合民主新党は07年、大統領選候補を選ぶ党内選挙を国民が参加する国民参加選挙で実施した。16の市・道のオフライン選挙人団が168万人、モバイル投票選挙人団は24万人にのぼった。モバイル投票が政党史上初めて導入され、党内選を盛り上げたが、動員党内選が「民心」と「党心」を歪曲した。党内選で勝利した鄭東泳(チョン・ドンヨン)候補が地域投票で得た票の半数以上が、出身地域の全羅北道(チョンラプクト)の有権者だったことが端的な例だ。市・道別、年齢別の人口比率が十分に反映されなかったためだ。

民主党が、4月の総選挙の公認で、一部地域でモバイル国民党内選を実施し、再び動員党内選の論議を呼んでいる。光州東区(クァンジュ・トンク)では、動員党内選に加担した前洞長が自殺する事件も起きた。選挙人団の違法募集に動員されたある女性は、「ロボットのように命令に従う自分がとても嫌だった。子どもの具合が悪くても、モバイル投票選挙人団を集めた」と打ち明けた。1審の裁判は、事件の上層と見られた朴柱宣(パク・ジュソン)議員(現在無所属)に対して、検察の求刑(懲役1年)より重い懲役2年を言い渡し、「民主主義の祭りになるべき選挙を血と涙、金で汚した」と叱責した。

民主党代表を選ぶ党内選でも、親盧系(故盧武鉉前大統領系)の中心である李海瓚(イ・ヘチャン)候補が、代議員投票で負けたが、モバイル投票で勝ったため、終盤で逆転した。動員力が強い親盧寄りのモバイル組織が李候補を支持したという声が広まった。惜敗したキム・ハンギル候補は、「党心と民心の歪曲」と批判したが、時すでに遅しだった。

モバイル党内選は、時代の流れに乗って、投票参加者に便宜を提供し、盛り上げる面がある。しかし、携帯電話を利用する年齢や地域別偏差を調整することが容易でない。先進国と違い、韓国では一般の人々が政党の行事に参加することを敬遠するため、動員党内選が起こりやすい。進歩寄りの崔章集(チェ・ジャンジプ)高麗(コリョ)大学名誉教授は、「モバイル機器に慣れたグループが市民全般を代表することはできず、社会、経済の底辺階層や疎外階層を代表したり、基盤としていない」とし、「モバイル投票は悪い意味での革命的変化だ」と批判した。

動員投票に変化しつつあるモバイル投票は、民主主義を後退させる。「国民」という言葉はもっともだが、携帯電話に慣れない国民は疎外されている。民主党指導部が来月から大統領選候補の党内選のルールを議論する時、動員党内選を阻止する案を出さなければならない。