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[オピニオン]大停電

Posted June. 22, 2012 07:37,   

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韓国人1人が飲むお酒の量は世界11位だが、アルコール度数を考慮すれば世界一になる。酔いに身を任せて、前日の飲み会で何があったのか記憶を失うこともある。脳に入力されていないため、思い出そうにも思い出せないのだ。このような状態を「ブラックアウト」と言うそうだ。個人だけでなく、社会全体的にもブラックアウトを経験することがある。他ならぬ大規模の停電だ。記憶が途切れたのと同じように、予測が不可能で統制が利かない瞬間に、すべての地域で電気が切れ、甚大な被害が発生する。

◆昨年の4月16日、大邱(テグ)市民運動場・野球場で行われたプロ野球の斗山(トゥサン)ベアーズ対三星(サムスン)ライオンズ戦だ。8回の表、斗山のチョン・スビン選手が奇襲バントで1塁まで突っ走る瞬間、野球場のライトがすべて消えた。変圧器に異常が生じたためだった。試合は、サスペンデットゲーム(一時停止試合)とした。昨年9月15日のソウル木洞(モットン)野球場。斗山対ネクセン・ヒーローズ戦の1回裏に同じようなことが起きた。今度は、韓国電力取引所が電力消費が急増するとブラックアウトを憂慮して循環停電を実施したためだった。この日、停電のため野球場だけでなく、全国753万の世帯と工場、エレベーターなどへの電力供給が切れ、被害補償の要求額が14兆ウォンに上った。だが、この日の状況はブラックアウトではなかった。

◆2003年8月14日、ニューヨーク州など米国の8の州が突然ブラックアウトになった。一部の地域の過負荷を円満に処理できなかったためだった。地下鉄と航空機が足止めされ、携帯電話が不通になった。上水道ポンプが停止したため水道水の供給が止まり、下水が町に逆流した。非常発電機をつけたが、病院は電力不足で患者にも影響が出た。電気が切れた1日間、非常救助の要請は日ごろより60%増加した。ブラックアウトは、主に大都市で起きるため、住民たちは大きな混乱と苦痛を強いられる。

◆昨日、全国で節電訓練が行われた。夏場の電気需要の急増に備え、ブラックアウトが起きる事態を防ぐための循環停電練習だった。工場、マンション、商店、地下鉄への電力供給が途切れた場合の対応マニュアルも点検した。一部では「全体主義的な発想が感じられる」として反対したが、余裕電力がぎりぎりの状況下で、対応訓練は欠かせない。ただ、消費の節約だけに頼るのではなく、過去の政権が中途半端なところで中断した電力産業の構造改革を、何とか完結しなければならない。政府政策がブラックアウトを招くようなことがあってはならない。

洪権熹(ホン・グォンヒ)論説委員  konihong@donga.com