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[オピニオン]楽しむ数学

Posted May. 31, 2012 07:44,   

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16歳のインド系ドイツ少年、ショリヤ・ライ君が、数学界350年間の難題だった「ニュートンパズル」を、学校での課題週間のイベントとして簡単に解いた。ニュートンパズルとは、空中に投げ出されたボールの軌道を計算し、ボールが壁にどのような形でぶつかって跳ね返るのかを予測する量子力学問題であり、アイザック・ニュートンが出題した。これまでは最高物理学者たちがコンピュータに依存してのみ計算することができた。周辺から賛辞が殺到すると、少年は「問題を解くことができたのは、天真爛漫なためだ」と答えた。

◆天真爛漫なため、問題を解くことができたという言葉は、少年の考え方が固定観念の枠にとらわれていないことを示している。インドのコルカタで生まれた少年は数学が大好きだった。数学のレベルが相当なものだった父親から、6歳の時から数学を学び始めた。親子が夜遅くまで数学の問題と睨めっこをする様子は、想像するだけでもほほえましくてうらやましい。少年は、ドイツに来るまで、神秘的なインド数学の洗礼を受けたことだろう。インド人はアラビア数字「0」を発見するほど創意的かつ数学に強い民族だ。

◆韓国人は、小学校から高校までほぼ毎日のように数学を勉強するが、数学を楽しんでいるとはいえない。数学は、韓国の家庭が相当な金額の私教育費をつぎ込む科目だ。教育科学技術部が昨年、数学私教育の実態に関する調査を行った結果、小学生は学習誌を含め平均2.55件、中学生は1.86件、高校生は1.32件の数学私教育を受けていた。やりすぎと思われるほどの努力や投資にも関わらず、数学は「生徒時代の悪夢」であったり、「実の生活とは関係のない学問」と受け止められている。大半の児童生徒らは、数学に重要な入試科目の一つとしてアプローチし、入試に受かりさえすれば二度と振り返らない。

◆客観的な指標から見れば、韓国生徒らの数学成績はさほど悪くはない。経済協力開発機構(OECD)の国際学力評価で、高校1年生の数学レベルは評価対象となった65ヵ国の中で4位だった。最上位圏(上位5%)の成績では、上海(中国)、シンガポール、台湾、香港(中国)に次ぐ5位だ。潜在的数学エリートの競争力が落ちるのは、国家競争力のレベルでよい兆しとは言えない。競技大会の受賞実績を大学入試に反映することを禁じてから、数学オリンピアードへの関心が下がり、成績も大幅に下がっている。入試数学から脱し、楽しむ数学へと変わってこそ、真なる数学大国になることができるだろう。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com