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未明から詰め掛けてきた不安な行列、淘汰説の貯蓄銀行4行に取り付き騒ぎ

未明から詰め掛けてきた不安な行列、淘汰説の貯蓄銀行4行に取り付き騒ぎ

Posted May. 05, 2012 08:41,   

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「番号票を手にせず、お金を引き出す人がいるかもしれません。金融当局を信じないでください。我々自らが摘発しなければなりません」

4日午前、ソウル江南区大峙洞(カンナムグ・デチドン)S貯蓄銀行本店。40代の男性が窓口の前に進むと、同日、詰め掛けてきた数百人の客に対し、このように叫んだ。昨年営業停止となった釜山(ブサン)貯蓄銀行のVIP客や役員らに対する特恵引き出し事件を思い浮かべての発言だった。

金融当局による3度目の貯蓄銀行営業停止の発表が迫っていた同日、淘汰対象と名指されている3、4社の貯蓄銀行の支店に詰め掛けてきた客らは、誰もが激昂した表情だった。客と職員との間に激しい言葉が交わされ、小競り合いとなった。一部の支店では同日正午前に、すでに番号票が1000番を優に超えている。銀行が営業開始すらしていない未明から長い列ができ、店舗内に入れなかった客らは、道端で新聞紙を敷き、当ても無く待っていた。

金融当局によると、この日に、営業停止の対象と取り沙汰されていた5社(系列会社1社を含む)の貯蓄銀行から引き出された預金額だけでも、計4000億ウォンが超えていることが、確認の結果分かった。これらの貯蓄銀行では3日も、1618億ウォンが引き出され、2日間の引出し額は約6000億ウォンに上っている。営業停止発表前に、事実上、大規模な預金引出し事態(バンクラン)が現実となったのだ。

●自粛要請も効かず

ソウル中区乙支路(チュング・ウルジロ)のS貯蓄銀行の支店は、午前から客が押し寄せてくると、最初から正門の出入り口の鉄のシャッターを下ろし、番号票を手にしている人たちだけを、非常口から出入りさせた。客らは、「中に入れさせてほしい」、「預けた金はいったいどうなるの」と、従業員らに抗議した。しかし、堅く閉ざされた出入り口には、「窓口が混んでおり、職員らの指示に従ってください」という案内文だけが掲げてあった。

ここを訪れたイ某さん(60、女)は、「老後資金として6000万ウォン以上を預金しているのに、不安でならない。今日、引き出せるかどうかも分からない」とため息をついた。職員らは、「まだ(淘汰銀行が)発表されたわけではない。5000万ウォン以下の預金は全て保障される」とし、客らを安心させようとしたが、てこずるばかりだった。この貯蓄銀行は最近、会長がメディアとのインタビューで、淘汰審査の対象であることを公に示唆し、支店を訪れた客らは、他の貯蓄銀行よりはるかに多かった。

乙支路のH貯蓄銀行の支店には、午前11時ごろ、番号票の発行機がトラブルで止まった。待機人数が300人に迫り、紙切れとなったのだ。60代の男性は、記者に対し、「この前も、プライム貯蓄銀行に金を預けていて、満期を2週間後に控えていた時、営業停止の発表が出された」とし、「銀行の職員らは到底信頼できない。国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率も、全て騙しているのではないか。私は職もないし、年金で食べているのに…」とぼんやりしていた。

●5千万ウォン超の預金者ら、戦々恐々

昨年の貯蓄銀行事態の学習効果のためか、同日、支店の現場では5000万ウォン超過預金者はあまりいなかった。しかし、一部の大口預金者らは、「今日でなければ、金を踏み倒されかねない」と思っており、より切実な様子だった。

S貯蓄銀行の市内の支店で出会ったイ某さん(35)は、「1億ウォンを預金している。つい先に、400番台を手にしていた娘さんから、自分はこれ以上待てないといい、私に番号票を譲って立ち去った」とし、「待ちくたびれて、昼食を取りに自宅に帰ったが、妻から、『順番が過ぎたら大変だから、早く食べて戻るように』といわれ、急いで来た」と話した。

1100万ウォンを劣後債券に投資しているという50代の女性は、「3年前に、収益率がよいと勧められ、購入したが、このような状況になるとは思いもよらなかった」と、声を荒げた。一部の支店の周辺では、保険会社や証券者の職員らが出向いてきていて、「貯蓄銀行は不安であり、我々の方に投資してみては」と、営業を行う様子も目に付いた。

M貯蓄銀行・西大門(ソデムン)支店では、客らが押し寄せてくると、窓口にスツールを設置した。不安がる客らは、初対面なのに、数人ずつたむろして、預金者保護制度についての情報を互いに交わした。

●リストから外された貯蓄銀行は間接的利益

S貯蓄銀行は支店内のみならず、オンライン上にも、人たちが詰めかけ、インターネットバンキングが、しばらくダウンした。この貯蓄銀行に2000万ウォンあまりを預けているイ某さん(32、女)は、「支店まで出向く時間がなく、インターネットでのアクセスを試みているが、引き続き『エラーメッセージ』だけが現れている」とし、「5000万ウォン足らずとはいえ、保険金を受け取るまでの手続きが複雑すぎて、予め引き出さなければならないのに、じれったいばかりだ」と話した。

同日、証券市場でも一部の上場貯蓄銀行の株価は、相次いで暴落した。S貯蓄銀行は前日より14.98安の1株=1135ウォンで取引を終え、2日連続してストップ下げを記録した。H貯蓄銀行、さらに同銀行の系列会社であるJ貯蓄銀行も同日、それぞれストップ安を記録した。一方、淘汰リストから外されたことが分かっているほかの貯蓄銀行各社は、小幅な上昇を記録し、反射利益を享受した。



ryu@donga.com hparks@donga.com