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[オピニオン]ソマリーマム

Posted March. 27, 2012 08:40,   

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内戦の戦雲が立ち込めていた1970年、カンボジア東部のモンドルキリ州で、一人の女の子が生まれた。少女が5才になる前、クメールルージュのポルポト政権が、カンボジア全域を血で染め始めた。故郷を離れた両親に代わって、親戚に育てられた少女は、虐待の中、家事を手伝いながら住み込んだ。12才の時、借金に耐えかねた親戚が女の子をプノンペンの風俗店に売り渡し、レイプや暴力、電気拷問や飢餓に苛まれながら性的搾取を受ける生活が始まった。

◆「私は死んだ」。この物語の主人公であるソマリー・マムは、この時期をこのように定義する。「もはや幼くない」ことを理由に、客は彼女を求めなくなり、1993年、フランス救援要員の手助けを受け、性的奴隷の生活はピリオドを打った。彼女の偉大さはここから始まる。心と体はずたずたになったにも関わらず、自己嫌悪に陥ったり、過去を否定したりしない。風俗店にいた時、「誰か一人でも私を助けてくれる人がいたなら…」という願いを、実践に移した。脱出後、居住していたフランスから、祖国に戻ってきた彼女は、人身売買との戦いに挑む。

◆1996年、フランス人の友人らの手助けを受け、非政府組織アフェシップ(AFESIP=Action for women inn distressing circumstances)を立ち上げた氏は、これまで計7000人以上の性的搾取を受ける女性を助け出した。助け出すのは一瞬のことだが、どのように立ち直るかがより重要だった。氏は、彼女らに学びの機会を提供し、裁縫や美容などの職業技術を教えた。社会に出るとき、小口融資を行い、自立基盤を作った。07年、米ニューヨークで、ソマリーマム財団(SMF)を立ち上げ、本格的な人権運動家に変身した氏は、12年、ポスコのチョンアム奉仕賞の受賞者に選ばれ、昨日、韓国を訪れた。

◆東南アジアの買収女性の多くは、自主的に売春をやっているが、カンボジアやネパールなどでは、拉致されたり、安価で売られてきた少女らも多い。ヒラリー・クリントン米国務長官は15日、ホワイトハウスで行われた人身売買撲滅に関する会議で、「世界で2700万人が、人身売買によって苦しんでいる」と明らかにした。拉致・監禁された女性の性的人身売買は、自由な意思による契約ではないことから、現代版奴隷制と言って良い。脱北女性らの多くも、中国の農村に売られたり、売春組織の罠に掛かっている。国に崩壊の兆しが見えれば、真っ先に、女性らが売られる。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com