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愛国心に訴えて車を売る時代は過ぎ去った

愛国心に訴えて車を売る時代は過ぎ去った

Posted March. 27, 2012 08:40,   

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「成金、50代の中高年層、大手企業のオーナー2世、愛国心のない愚か者」

10数年前まで、「輸入車」と言われて浮かぶイメージは、概ねこういったものだった。それと、もう一つある。暴力団も輸入車とは到底切り離せない関係にある。組織暴力団は、「家賃30万ウォンの家に暮らしていても、輸入車の一つも乗り回してこそ、顔が立つ」と言う時代もあった。最近大ヒットした映画、「犯罪との戦い;悪者らの全盛時代」でも、チェ・イクヒョン(俳優・崔岷植が扮する)が、チェ・ヒョンべ(俳優・河正宇が扮する)に初めて会いに行くシーンでも、1978年型ベンツSクラスが登場する。

このような否定的なイメージのせいか、輸入車は国内でしばらくの間、冷たい目で見られてきた。初めて輸入車市場が開放された1987年に売れた車は、わずかベンツ10台。その後、1990年代も年間販売台数は数千台に止まったが、00年代前半や半ばから、飛ぶように売れ始めた。開放から25年目の昨年は、史上初めて年間販売台数が10万台(10万5037台)を突破した。今年1月は、国内市場シェアが初めて10%台(10.3%)を越え、2月は新規登録台数が計9196台と、昨年同期比35.8%増という爆発的な成長振りを見せている。それこそ「輸入車の全盛時代」だ。

輸入車がよく売れるのには、いくつか理由がある。まず、対外的な環境の変化だ。昨年7月1日から、韓欧州連合(EU)間自由貿易協定(FTA)の発効を受け、関税が段階的に引き下げられ、欧州車の価格競争力が向上した。また、様々な新車が次々と発売され、消費者らの注目を集めたのも、影響を及ぼしている。

しかし、輸入車人気の背景には、変わって来ている消費者の認識がある。「年を取った金持ちの車」から、「個性を重視する若者の車」へとイメージが変わった。これらの若者らは、他人の目を気にしない。自分らしいスタイルを強調し、実用性も大事にすると言う特徴がある。

これは、数値からも裏付けられている。07年、BMWを最も多く購入した顧客層は50代(38%)だった。30代はわずか15%だった。しかし、昨年は30代が33%と、40代(34%)と共に、BMW購買客の主流を成している。輸入車全体市場でも同様だ。昨年、国内で個人が購入した輸入車の3分の1ほど(34.5%)を、30代が購入した。彼らは、無理な消費もしていない。昨年、輸入車販売で、排気量2000CC未満の中小型車が占める割合は、全体の42.2%に達した。

輸入車市場が拡大し、国産車の立場は狭まっている。昨年、国内自動車メーカー各社による内需販売(商用車除外)は計121万台と、10年より0.5%減少した。輸出(13.7%増加)を持って、内需市場の低迷を相殺したものの、国内自動車メーカー各社が感じる危機感は少なくない。

事実、現代起亜(ヒョンデ・ギア)自動車グループはこれまで、80%弱の市場シェアを誇り、国内で楽に商売してきた。しかし、合理的な価格帯で実用性まで備えている輸入車が次々と披露され、もはや、「朝飯前」の営業はできなくなった。

「国産車に乗りましょう」と、「愛国心マーケティング」に訴えた時代は過ぎ去った。国内自動車メーカー各社は気を引き締めなければ、輸入車市場のシェアがいつ、20%、30%になるか分からない。