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[オピニオン]NBAのアジア人旋風

Posted March. 02, 2012 07:40,   

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今では海外進出のスポーツスターも多数いるけど、1980年代の「シュートマジシャン」李忠煕(イ・チュンヒ)氏の米プロバスケットボール協会(NBA)進出が実現するかどうかは、国民的な関心を集めたものだ。180センチの身長はNBA選手としては「チビ」と呼ばれる水準だったが、上体を反り返して投げるフェードアウェー・シュートは百発百中だった。李氏は1986年の世界選手権大会で得点2位に上り、NBAチームから入団提案を受けたが、兵役特例の恩恵を受け、5年間韓国で活動が義務付けられていたため、NBA進出はならなかった。国内選手のNBA進出1号は2004年の河昇鎮(ハ・スンジン)だ。

◆バスケの世界最高峰と言われるNBAは、黒人が席巻しているスポーツだ。バスケの神と言われているマイケル・ジョーダン、ジュリアス・アービング、カリーム・アブドゥル・ジャバ、マジック・ジョンソンはもちろんのこと、現在コートを支配しているコービー・ブライアン、ケビン・デュラント、ルブロン・ジェームズはみな黒人である。やがては「白人はジャンプができない(原題:WHITE MEN CAN` T JUMP)」(1994年作、日本では「ハード・プレイ」)というタイトルの映画が作られるほどまでになった。圧倒的多数の白人観客が、10人の黒人選手たちが死に物狂いで戦うゲームを観戦しながら拍手を送る場面では、古代ローマの剣闘士の決闘を思い浮かべる人もいた。

◆黒人が支配するNBAコートでアジア人系が旋風を巻き起こしている。2002年、姚明(ヤオ・ミン)が229センチの高さで注目を集めたことはあるが、ニューヨーク・ニックスに所属するジェレミー・リン選手のそれには到底及ばない。バスケ選手の障害要因とされるアジア人(台湾系)、ハーバード大学出身、バスケ選手としては短身(191センチ)の3要素をすべて備えているリンは、度胸と持ち前の決定力でかつての名門ニューヨーク・ニックスの復活をけん引している。不可能なことは何もない(Nothing Is Impossible)という広告キャッチーフレーズをパロディーした「Nothing Is linpossible」という言葉も大流行だ。

◆リン選手に熱狂する米国人たちの心の底に「アジア系にしては結構やっている」といった、逆の偏見が潜んでいるという見方もある。黒人の中には、リン選手ぐらいの能力を持った選手がざらといるが、なかなかファンの注目を集めることができない。ドイツで19世紀に流行った黄禍論は、ヨーロッパ文明を脅かすアジア人を警戒しなければならないと呼びかける人種主義的な扇動スローガンだった。チンギス・ハーン率いるモンゴル騎兵隊から覚えた恐怖感のDNAだという見方もある。アジア人を見る欧米人の見方がどう変わっているかと関係なく、背の低いアジア人が長身選手たちを交わしてダンクシュートを決める姿は、スポーツだからこそ可能な芸術である。

ハ・テウォン論説委員 triplets@donga.com