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中国、17年間10万の脱北者を送還 難民条約最悪の違反例

中国、17年間10万の脱北者を送還 難民条約最悪の違反例

Posted February. 29, 2012 07:45,   

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中国による脱北者の北朝鮮への強制送還問題が注目を集めているのを契機に、世界中の難民問題が国際社会の懸案として台頭している。2010年末を基準に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が保護している難民は、全部で4370万人で、アフガニスタンとイラク難民が半数を占めている。

難民申請をしても、皆が難民と認定されているわけではないが、ここ数十年間大半の国は厳しい国内事情にも関わらず、難民を保護する方向で政策を進めてきた。

現在難民を一番多く収容している国はパキスタン(190万人)で、イラン(110万)、シリア(100万)の順だ。アフガニスタンとイラク出身難民たちは、本国に帰っても迫害を受ける可能性が少ないが、避難してきたという理由だけで国際的保護を受けている。

2011年、リビアとチュニジアで4万8000人の難民がイタリア南部のランペドゥーサ島に押しかけたとき、イタリア政府は短期滞在証を発給し、国境移動が自由なフランスやドイツなど他の欧州の国々へ送った。そのため、これらの国と摩擦を引き起こしたが、強制送還はなかった。

1985年、コロンビアで発生した流血事態で300万人あまりの難民が発生した時も、米国は難民の大半を受け入れた。難民の代名詞となっているベトナム人ボートピープルも、米国、豪州、フランス、カナダなどで難民地位を認められた。韓国も、1975〜1993年、韓国に到着した3000人あまりのベトナム人ボートピープルのうち2400人あまりは米国、ニュージーランドなどに送られ、600人あまりは韓国で受け入れ定着を支援した。

このような国際社会の慣行に比べて、中国が北朝鮮出身難民の第三国行きさえも認めず、強制的に送還しているのは難民の地位に関する条約が1951年に締結されて以来、同条約を違反した最悪の例に当たると、専門家たちは指摘している。10万人規模の難民に足枷をはめて本国に送還させたり、送還された難民全員が本国で拷問、収監、処刑といった過酷な迫害を受ける状況は、世界の現代史でも類を見ないという。

これは、中国が1982年9月に加入した「難民の地位に関する条約」と1988年に加入した「国連拷問等禁止条約」を違反したものだ。中国は、脱北者を送還している根拠として、1960年に北朝鮮と交わした「中朝脱走者および犯罪人の相互引渡し協定」を挙げている。だが、国連憲章の第103条、難民条約の第8条と40条1項は、国際条約と国内法が矛盾する場合は国際条約が優先すると規定している。

中国も過去に、国際条約と国内法が衝突する場合は国際法が優先するという認識を、何度も表明している。2000年5月の第24回拷問防止国際会議に参加した中国代表は、「中国は国際人権規約のすべての原則を順守しており、国際法は国内法の一部と見做され、国際法と国内法が衝突する場合には国際法が上位にある」と述べた経緯がある。

梨花(イファ)女子大・法学専門大学院の金英石(キム・ヨンソク)教授は、「中国は脱北者問題が指摘されると、毎回、犯罪人引渡し協定を振りかざしているが、拷問禁止はすべての国際法の上位にある強制的規範である」と指摘した。国際法上の強制規範を違反する条約は無効だという。

中国が脱北者を難民と認めていないことについて、国際難民支援センター「避難所」のイ・ホテク代表は、「国連難民条約の1条は人種、宗教、政治的見解を理由に迫害される恐れのある人を難民と規定している」と言い、「脱北者が脱出したのが経済的な理由からだとしても、北朝鮮体制の特性上、送還されれば迫害を受ける理由は政治的なことになるため、脱北者は難民の定義に含まれる」と話した。



jaj@donga.com zsh75@donga.com