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[オピニオン]チョコレートの涙

Posted February. 09, 2012 08:53,   

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INGグループのオンライン金融部門であるINGダイレクトUSAが2010年、米国人1000人を対象に、「セックスとチョコレートとのうちで一つを選ぶとしたら、何を選ぶか」と質問したところ、大半の女性がチョコレートを選んだ。米女性に限ったことではないだろう。うっとうしい気持ちを一気に吹き飛ばすのに、チョコレートに勝るものなどない。「甘くほろ苦いチョコレート」の奥深い味には、誰もが抵抗しがたく、チョコレートは「愛の妙薬」とも言われている。

◆バレンタインデー(2月14日)は、チョコレート業界にとって最大のかきいれどきだ。年間チョコレート販売量の約3分の1が、2月に販売される。バレンタインデーは、女性が男性に愛を告白する日として知られている。愛する男女を、皇帝の許可なしでひそかに結婚させた罪で殉教したローマ時代の司祭、聖バレンタインから由来している。しかし、チョコレートをやり取りする風習は、デパートや製菓業界が作り出した商法だ。商魂たくましい日本の製菓業界がこの日にチョコレートをプレゼントしようと言うキャンペーンを繰り広げ、成功した後韓国にも上陸した。チョコレートがこの日に多く売れるのは、その分だけ需要があるという意味でもある。若い女性が愛を告白する際、チョコレートは欠かせないものになった。

◆チョコレートの主原料であるココアは、カカオの木の実だ。世界のカカオの70%が、コートジボワールやガーナなど、南西アフリカで生産される。10メートルを超えるカカオの木に登り、豆を収穫し、種を抜いて干す作業をする労働者の大半は、6歳から12歳の子供だ。体の大きな大人になれば、サルのような木登りが難しくなるからだ。一日中仕事をするため、学校(学校での勉学)を放棄する子供も多い。この子達が焼きつくような日照りの中で働いて手にする1日1ドル未満の金で、家族が生計を立てている。

◆安価な原料の確保のため、児童労働力の搾取を黙認しているネスレなど、世界的チョコレート企業の非倫理性は、たびたび批判の的になる。一時、チョコレート不買運動が行われたこともあるが、カカオ農場の子供達はそれに反対した。チョコレート消費がなければ即座に自分たちの働き口が無くなると言う。子供達にカカオの実を採らせなかったら、より危険なほかの労働に追い込まれたり、売春の誘惑に駆られるかもしれない。その解決策は、子供達に正当な労働の代価を支払って作られた「公正取引のチョコレート」を消費することだ。甘いチョコレートには子供達の涙が入っている。愛に理性を失いつつある若い男女らには、そんなことまで考える余裕などないだろうが。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com