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[オピニオン]称賛の逆効果

Posted January. 19, 2012 08:19,   

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金鍾仁(キム・ジョンイン)ハンナラ党非常対策委員の「称賛」が物議を醸している。金委員は10日、民主統合党所属の崔載千(チェ・ジェチョン)元議員の出版記念会で、「第17代国会で共にし、有望な政治家だと感じた」と述べた。17日のハンナラ党議員総会では、金委員が野党の出馬予定候補を公に称賛したことは納得できないという声があがった。崔元議員と争わなければならない陳壽姫(チン・スヒ)議員としては憤らないわけにはいかないだろう。

◆10年前、「称賛は鯨も踊らせる(豚もおだてりゃ木に登る)」という本が国内で出版されて以来、称賛の効果を知らない人はいないようだ。「長所を具体的にほめよ」、「結果よりも過程をほめよ」、「仕事がうまくいかない時はもっと励ませ」といった人生の教訓となる内容が多い。特に最近は処罰ではなく称賛を強調する教育論が受け入れられる傾向にある。しかし、冷静な評価が必要な時、ほめることはかえって逆効果を生む恐れがある。

◆心理学者のキャロル・ドウェック米スタンフォード大学教授は、「プライドを与えるための称賛は逆効果を生む」と警告した。聞いた人が有頂天になり、結果的に進歩できる機会を逃すということだ。ワシントンDC教育長を務めたミッシェル・リーは、「米国では子どもを気分良くさせるべきだという強迫観念にとらわれている」と述べ、そのために子どもが生きていくうえで必要な実力が育たないと指摘した。大人への称賛は良く言えば「社交辞令」、率直に言えば「お世辞」と言う。言うべきことは言わず、褒め言葉だけを並べ立てる部下は、上司の目と耳を塞ぐ奸臣と言っても過言ではない。

◆三星(サムソン)の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は、あまり褒めない経営者と言われている。昨年、韓国経済について「落第点は免れた」と言って話題になると、三星側は「常に危機感を強調してきた李会長のスタイルであり、この言葉は『なかなかの水準』であるという意味だ」と釈明した。英国のフィナンシャル・タイムズが、アップル社の三星電子提訴を「最高の称賛」と言うほど三星が発展したのも、称賛とおごりを警戒したおかげかもしれない。金委員の称賛に対し、民主党では「金委員は思慮深く遠慮深い方なので、ハンナラ党に行って民主党の政権交代を促している」と皮肉った。称賛も時と場所をわきまえてこそ精力剤になる。

金順徳(キム・スンドク)論説委員yuri@donga.com