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[社説]覚醒した国民になることが求められる

[社説]覚醒した国民になることが求められる

Posted December. 31, 2011 11:13,   

Updated January. 04, 2018 18:03

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「君の執念を見せて。地球をちょっと揺らがしてみて。みんなが君を見ることができるように。歴史は新しく書きかえられるでしょう」

可愛く誇らしいK-POP韓流スター「少女時代」が歌う「The Boys」の歌詞だ。韓国発のK-POPが東南アジアを経て中東、欧州、米国を回り、遠く中南米とアフリカまで揺さぶっている。長い間眠っていた韓国人の潜在力が表舞台に現れ、それを表現した歌とダンスに世界の若者が熱狂している。米軍龍山(ヨンサン)基地で流れた西洋のポップが韓国の大衆文化を先導した時代にこのような日が来るとは想像もできなかったが、センスのある若者の挑戦によって成し遂げられた。韓国人は胸を張って誇りに思っていい。

韓国が内部の対立に埋没せず、広く、遠く世界を見つめて国運の開拓に力を結集するなら、より大きなことも果たせるのではないだろうか。先進国は、国内政治の混沌と世界的な経済危機で困難を経験している。2012年は、西欧の相対的な衰退とともに繰り広げられる「アジアの時代」に、韓国が新たな先頭圏を形成する元年になるかもしれない。

韓国は、荒波の海に向かって帆を上げる心情で新年を迎える。どの年であれ、荒波が押し寄せてこない時はなかったが、今年の国内外を見渡せば、侮ることのできない挑戦が待ち受けている。英国の時事週刊誌エコノミストは、世界的な経済状況について、「2012年は世界の終末が切迫している感じを受けるだろう」と予測した。

2012年、韓半島は昨年末の北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の急死と三男の金正恩(キム・ジョンウン)氏の3代世襲で緊張の一年になるだろう。さらなる北朝鮮発の衝撃音が起こらないとも限らない。新年で30才になる金正恩氏の権力継承がどのように展開するか不確実であり、核開発も依然として現在進行形だ。2012年には、中国は4世代から5世代へ権力交代が行われ、米国では大統領選挙がある。米国と中国は政治日程のために北朝鮮に相対的に関心をあまり注がないか、北朝鮮の「安定」を必要にするとみられる。北朝鮮の後見国の中国は影響力を一層強化して金正恩世襲体制の安着を支援し、米国も金正恩時代の安定化による核挑発防止を望んでいる。米中のこのような姿勢が、韓半島と北東アジア地域の平和を十分に担保するわけではない。李明博(イ・ミョンバク)政府も金正恩体制の軟着陸だけを望むなら、金総書記の死去によって一筋の光を見た2400万の北朝鮮住民を再び絶望に陥れることになる。

37年間の鉄拳独裁者であり、哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没と延坪島(ヨンピョンド)砲撃の最終責任者である金総書記の死は、韓半島に肯定的な変化をもたらす契機にならなければならない。韓国は、米国、中国と協力して北朝鮮を改革開放に導き、北朝鮮の核の脅威を取り除くための外交的努力を強化しなければならない。北朝鮮の同胞に人間らしい暮らしができる日を早めることは、人類普遍の価値の実現であり、民族の大義であり、自由民主的基本秩序の上で平和統一に進む大道である。

北朝鮮の国防委員会は、「南朝鮮の同胞の弔意表示と弔問団の北行の道を必死に阻もうとする李明博逆賊一味とは永遠に共存しない」とし、「逆賊一味の万古大罪は最後まで追及して清算する」と脅した。さらに、世界に対して、「我々にいかなる変化も期待してはならない」と豪語し、金総書記の死去後も大きな変化がないことを予告した。北朝鮮が金正恩体制の安定と内部結束のために挑発を強行する可能性が今なお残る状況で、安保態勢を堅固にすることは最優先課題だ。安保が堅固であってこそ、国内外の資本が安心して投資することができる。2015年12月に予定された戦時作戦統制権の返還が安保不安に広がらないよう2012年には国防改革の枠組みを整える必要がある。

2011年の「世界的な怒り」の現象で目にしたように、政治経済体制をめぐる難局は世界的な現象だ。世界化と技術の発達による格差が深まり、先進国と後進国を問わず経済が政治を懲らしめる現象が広がっている。政治ポピュリズムがPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)で過剰福祉→財政危機→国家破綻につながる危機を招いた。PIIGSの国民がポピュリズム政治を好み、ばらまき福祉を享受した結果だ。無能で腐敗した政権も審判を受けた。

2012年は「世界政治のビッグバンの年」だ。韓国、米国、中国、ロシア、フランスなど59ヵ国で新しい政治リーダーシップを選ぶ選挙が行われる。李明博大統領からバトンを渡される第18代大統領は、米国、中国、ロシアなどの新しい指導者を相手に北東アジアの平和と韓半島統一に向けた協力を取りつける歴史的な天命を担うことになる。北朝鮮の金日成(キム・イルソン)王朝の3代世襲者の金正恩氏が、韓国の第18代大統領の5年任期中にどのような運命を迎えるか知る由もない。2012年以降の数年は、韓半島の運命の重大な転換点になる可能性が高い。時代の荒波を5000万の国民と共に賢明に勇敢に進むことのできるリーダーシップを作り出すことが、次期大統領選の核心的な意味だ。覚醒した国民になることが求められている。

地域、階層、世代、理念における葛藤が4月の総選挙と12月の大統領選を機に噴出する場合、国家、社会が深刻な混乱に陥る憂慮もなくはない。国民は、向こう4年間の議会政治、そして5年間の国政を任せる政治家と政党をより冷徹な目で選択しなければならない。国会議員と大統領を選び、1、2年過ぎれば後悔して嘆くことを繰り返すことはできない。そのためには空虚な公約と甘言利説、国家経済の基盤を掘り崩す福祉ポピュリズムに誘惑されてはならない。経済成長のための国民の痛みの分担を求める政治家こそ、国を亡ぼさず、福祉を増進させることができる。今、国民がこれだけの暮らしができるのは、親世代が自由民主主義市場経済体制で汗を流して努力したからだ。無償福祉のような目先の利益を得ようとして、私たちの子どもの未来の取り分まで使い果たす愚を犯してはならない。

二大選挙があるからといって、李明博政府は手を休めてはならない。2012年の韓国経済の成長率が3%台にとどまると研究機関は見通している。ユーロ通貨圏の債務危機が容易には解決されそうになく、米国も長期間続く景気低迷から抜け出せそうにないと懸念されている。対外環境が悪ければ悪いほど、経済体質の強化に向けた努力が必要だ。新年に発効される韓米自由貿易協定(FTA)を生産性向上と経済成長を促進する動力としなければならない。韓米FTA効果を最大限活用するには、医療、教育、観光、保育などのサービス業の規制撤廃、良質の教育や職業訓練のための改革が必要だ。

市場経済は、人類史上、最も成功的に繁栄を創造した制度だ。資本主義は、時代の状況に合わせて、自分を変身させる柔軟性のおかげで倒れなかった。市場経済の活性化のためにも、共存資本主義を模索するほかない。市場の勝者がパイを独り占めしようとせず、ノブレス・オブリージュ(社会指導層の道徳的責務)を実践しなければならない。市場経済は、財政、企業の支配構造、課税、金融、雇用の創出で、公正かつ効率的な方向での改革を求めている。

格差を抜本的に治癒するなら、自ら稼いで自立できるように雇用を増やすことが最善だ。韓国は、14億の中国人が追いつけず、コンピュータや機械に代替できない高付加価値のサービス産業とハイテク製造業に進まなければならない。サービス業の発展を遮る規制を撤廃し、教育の質を画期的に高め、「怒れる若者」を健全な職業人に転換しなければならない。李明博政府は選挙政局で右往左往せず、ひたすら未来の成長への道を邁進することを望む。