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[オピニオン]牛溲馬勃

Posted December. 31, 2011 11:13,   

Updated January. 04, 2018 17:33

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国文学者の梁柱東(ヤン・ジュドン)氏は、読書の楽しさを、絢爛な筆致で解き明かしたエッセイ「勉学の書」の最後に、ひとつのエピソードを付け加えた。漢文だけを勉強していた少年時代、独学で英語の勉強をしていたとき、英文法の「3人称単数」という言葉を、昼夜を問わず何日間読み返しても全く理解することができなかった。結局、3里も離れた雪道を歩いて訪ねた村内の普通学校の新任教師から説明を聞き、飛ぶほど嬉しかった。彼が書いてきたメモは、こういうものだった。「私が1人称、あなたは2人称、私とあなたを除く牛溲馬勃は、みな三人称なり」。

◆牛溲馬勃の辞書上の意味は、「牛のおしっこ(牛溲)や馬の糞(馬勃)のように、使い物にならず、たいしたことではない」という。漢方では、「牛溲」は野原に生えるシャゼンソウを、「馬勃」は腐った木に生える茸を意味する。それだけ安価でありふれたものだが、なくてはならない薬剤を指している。名医は、「犬の糞も、薬に使おうとすると珍しい」としてあたふたすることがない。唐の文章家、韓愈は牛溲馬勃を全てかき集めておいて、使う時を待つのが医師の賢明さであり、優れた者とおろかの者とを混ぜて官職につかせ、その能力に合わせて活用するのが、宰相の道理だと説いた。

◆人間に例えれば、牛溲馬勃は主演級でも脇役でもない張三李四(凡人)だ。しかし、この名もない粒の一つひとつが集まって世の中を変える。ジャスミン革命で、圧制の砂漠に激しい民主化の砂嵐を巻き起こし、「99%」の沈黙を破り「資本主義4.0」の火をくべた。全面的なソーシャルネットワークサービス(SNS)で、国境を超えて人々の心と世論を動かしている。2012年の二大選挙を行い、大韓民国の地形がどのような削られ、埋まるかも、この張三李四や牛溲馬勃の考えにかかっている。

◆大統領府は12年の新年のきっかけを、「臨事而懼」に決めた。厳しい時、大事を控え、慎重に知恵を集めなければならないという意味だ。政府や政治家らが本当に恐れなければならないのは牛溲馬勃だ。大統領府の11年のきっかけは、「一気呵成(一気に物事をスムーズにやり遂げる)」、10年は、「一労永逸(今の苦労を通じて、安楽を享受する)」だった。この地の牛溲馬勃は常に「一労」を尽くしてきたが、「一気呵成」できなかった政治のせいで、まだ「永逸」ができずにいる。為政者らは、牛溲馬勃を恐れることで、彼らに希望を与える新年になることを期待する。

李亨三(イ・ヒョンサム)論説委員 hans@donga.com