Go to contents

[オピニオン]「トガニ法」

Posted October. 08, 2011 03:28,   

한국어

性犯罪には概ね、被害者が告訴をしてこそ、控訴を起こすことのできる親告罪を適用する。被害者の名誉やプライバシー、人格権を保護するためだが、加害者が告訴を取り下げたり、減刑を誘導する方便として悪用し、議論を呼んできた。性的暴力特例法第6条は、身体・精神的障害のため、逆らうことのできない状態を利用し、姦淫・わいせつ行為を行った者を、刑事上の強姦・強制わいせつに準じて処罰を行う。しかし、裁判所が、「逆らうことのできないこと」を、心理的・物理的な犯行が絶対不可能なケースと、過度に厳しく解釈し、自己防御能力の足りない障害者対象の性的犯罪が、無罪判決を受けるケースが多かった。障害者の性的自己決定権の保護という法の趣旨が顔負けするほどだ。

◆政府が昨日、「障害者対象の性的暴力防止及び被害者保護対策」を発表した。聴覚障害児への性的暴行事件を取り上げた映画「トガニ(坩堝)」が、全国民を憤らせると、政府は急いで対策をまとめた。障害者性的暴力犯罪に対する親告罪を廃止し、「逆らうことが不可能」なことを要しない、「僞計•威力による姦淫」を追加し、犯罪範囲を拡大させた。障害者強姦罪の法廷刑も、3年以上から5年以上へと強化された。法制定のいきさつに照らし、「トガニ法」という名をつけるに値する。

◆07年、10歳のへジニと8歳のイェスリの誘拐・殺害事件が起きると、法務部は、児童への性的暴行・殺害犯について、死刑や無期懲役で厳罰する、いわば、「へジニ・イェスリ法」を提案した。09年、8歳のナヨンイに対し、残酷に性的暴行を加えた「チョ・ドゥスン事件」は、青少年への性的暴行事件の親告罪を無くすきっかけとなった。昨年2月、女子生徒に対し性的暴行を加え、殺害した金ギルテ事件後、電子タグをつける対象者を、遡及・拡大する法が実施され、児童性犯罪者への科学的な去勢法案も可決された。ナヨンイの父親は最近、児童対象性的暴力犯罪の公訴時効の廃止を求める署名運動に乗り出している。

◆社会的衝撃の大きい事件が起きるたびに、新しい法律を急いで作り、急場しのぎの処方に終わるのは、実効性が疑わしい対症療法だ。従来の法律を厳しく適用しながら、長い目で補足していくのが望ましい。性犯罪者への地道な治療や監察を持って、再犯率を下げる努力が重要だ。最近、性的暴行犯罪が増えている社会的背景が何であるかについても、総合的考察や分析が求められる。

李亨三(イ・ヒョンサム)論説委員 hans@donga.com