Go to contents

[社説]公教育は崩壊したが、「生徒デモ権」はそれほど急がれるのか

[社説]公教育は崩壊したが、「生徒デモ権」はそれほど急がれるのか

Posted September. 09, 2011 04:05,   

한국어

ソウル市教育庁が7日、ソウル市の生徒人権条例の草案を発表した。草案には、服装や頭髪の自由化、体罰の禁止など、すでに公開された内容のほかに、生徒に集会の自由を許可する案まで含まれている。教師と父兄の指導を受けなければならない幼い生徒に集会の自由を許可することは行き過ぎていると考え、昨年、京畿道(キョンギド)教育庁が左寄りの金相坤(キム・サンゴン)教育監の主導で生徒人権条例を作る時も除外された条項だ。

郭魯鍱(クァク・ノヒョン)教育監は、昨年の教育監選挙で、朴明基(パク・ミョンギ)ソウル教育大学教授に候補辞退の見返りに2億ウォンを提供した容疑を認めた翌日の先月29日、生徒人権条例草案の発表および公聴会開催の計画の報告を受け、そのまま推進するよう指示したという。郭教育監が、生徒と父兄のことを少しでも考えたなら、草案の発表をひとまず先送りするのが正常だ。検察の捜査を受けている郭教育監が、人権のイメージを浮上させ、利益を得ようという戦略かも知れない。

小学生まで学校の内外でデモをすれば、国家はどうなるのか。幼い生徒に無制限の権利と自由を与える国は、地球上どこにもない。郭教育監が個人の哲学や所信で押し進めることでは決してない。生徒人権条例草案は、生徒に携帯電話の所持を保障し、先行学習を禁止するよう規定している。携帯電話と先行学習の問題は、学校で条件に応じて自律的に解決すればいい。教育庁が割り込んで干渉すべきことではない。同草案は、校長や教職員だけでなく、父兄も生徒人権条例を順守するよう規定している。学習塾に対しても、体罰禁止を要求している。家庭や私的教育の領域まで規制している。教育庁は、すべきこととすべきでないことを分けることもできていない。

ソウル市教育庁は8日の公聴会の開催に続き、11月中に条例案をソウル市議会に送る計画だ。ソウル市議会は、郭教育監と同じような理念志向である民主党議員が3分の2を占めており、可決される可能性が高い。この場合、来年3月から条例が施行される。司法処理を受ける教育監が急ぐことではない。もう少し時間をかけて、十分な世論を収れんする必要がある。

教師が生徒や父兄から暴行を受けたり、脅迫される事例は、06年の7件から10年に146件と21倍に増加した。ただでさえ生徒を統制することが難しくなった教育環境の中で、生徒の人権だけを掲げるなら、教権の墜落はさらに加速するだろう。ソウル市の平均学力は全国で最下位の水準だ。今年の全国市道教育庁評価で、ソウル市教育庁は、基礎学力不足の割合、教育先進化などで最下位を記録した。にもかかわらず、ソウル市教育庁がこれに対する補完策を講じるという情報は聞こえない。郭教育監は、無理な生徒人権条例の制定を中止しなければならない。