Go to contents

[オピニオン]「悪いジョブズ」対「善良なチョルス」

[オピニオン]「悪いジョブズ」対「善良なチョルス」

Posted August. 31, 2011 07:17,   

한국어

先週、アップルの最高経営者(CEO)から退いたスティーブ・ジョブズが偉大なCEOであることを否める人はいない。「イノベーション(革新)の化身」、「デジタル時代のミケランジェロ」、「芸術家の感動や技術者のビジョンとを独創的に結合させた米国史上、最も偉大な人物の一人」などの賛辞が溢れている。しかしジョブズが、「善良なCEOだ」という賛辞はほとんどない。というよりも、むしろその逆である。

◆3ヵ月前、米CNNマネーは、ジョブズが優れた人材らに対し厳しく当たる姿を伝えながら、「アップルは徹底した責務性を要求する残忍な職場だ」と紹介した。09年、米紙「フォーチュン」は、「10年間のCEO」としてのジョブズを取り上げながら、「暴君的な完ぺき主義者」と記した。彼が、アイポッドで音楽産業を、アイフォーンで携帯電話市場を、そしてアイパッドでメディア世界の勢力図を塗り替えることができたのも、このような暴君的な天才性のためかもしれない。もし、ジョブズが韓国で事業をしたなら、音楽業界と同伴して成長するどころか、壊滅させても生き残ることができただろうか。

◆韓国人が最も好きなCEOに取り上げたソウル大学の安哲秀(アン・チョルス)融合科学技術大学院長は、ジョブズとはやや逆のイメージだ。医師でありながら、徹夜でコンピューターウイルスのワクチンを開発しては無料で提供し、ベンチャー企業を立ち上げ、職員らに対し、株を裾分けし、1000万ドルにV3を売ってほしいという米会社の提案をきっぱり拒否し…。(株)安哲秀研究所の会社の歴史は、小学校の道徳教科書に出るチョルスの物語のように心が温まる。皆を幸せにさせるチョルスを、与野党の政治圏では迎え入れたい思いで、気を揉んでいる。氏が、「善良なCEO」であることを否定する人などいない。しかし、偉大なCEOであるかどうかは分からない。

◆「企業家としての安哲秀を評価するためには、より本質的な質問を投げかけなければならない」。最近、週間メディアワッチに、チョン・へユン客員論説委員が書いた、「安哲秀に関する不便な真実」が話題となっている。彼が立ち上げた企業が技術的な革新をとげたが、投資家らを金持ちにしたか、人材採用を多くしたかのような本質的な問題を見て判断する際、安哲秀は過大評価されていると批判された。善良なCEOのみを望む政府、李炳哲(イ・ビョンチョル)や鄭周永(チョン・ジュヨン)を全泰壹(チョン・テイル)よりないがしろにする教科書を作る国では、偉大なCEOは出にくい。我々には「善良なチョルス」のみならず、「悪いジョブズ」のようなCEOも必要だ。

金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com