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「ドイツのバイヤーが戻ってきた」 韓EU間FTA発効1ヵ月で輸出に活気の兆し

「ドイツのバイヤーが戻ってきた」 韓EU間FTA発効1ヵ月で輸出に活気の兆し

Posted August. 03, 2011 03:13,   

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●2010年6月、二の足を踏んでいた欧州バイヤー

「製品は気に入っているんですが…一度、伺うことにします」

韓EU間自由貿易協定(FTA)の正式署名を控えた昨年6月、「大口客」がSTワイドを訪れた。「LEDプロジェクト」という名のドイツ会社のバイヤー、シュザレイ・ハネス氏(40)だった。ハネス氏は、一山(イルサン)キンテクスで開かれたLED関連展示会に見物に来たが、STワイドの製品に目をつけ、直接訪れたのだ。

バイヤーの訪問に、社長から技術研究所長までが超緊張の状態だった。うまくいきさえすれば、従業員8人が一丸となって、欧州進出の第一歩を踏み出すことができたからだ。李社長は、「この3年間、オランダやオーストリアなど、欧州諸国を歩き回ったが、何ら所得もなかった時が思い浮かんだ」と話した。

製品を見せてほしいというバイヤーの前に、看板商品「ダウンライト」を出した。天井に取り付けるこの丸い照明機器は、光がまろやかで一般蛍光灯より電気代も40%ほど減らすことができる。長期間の研究の末、電流を変換させる別途のコンバーターをなくし、部品価格だけでも1万ウォンを下げることができた。特許出願を終え、欧州市場への進出に向け、欧州CE認証まで全てを獲得した状況だった。金ランギ技術研究所長は、「私たちが作る11製品に対し、全て欧州認証を獲得するほど、品質には自信があったため、バイヤーの前に自信を持って製品を出した」と話した。

「価格の方が少し問題ですね」。品物をいじっていたバイヤーが口を開いた。期待が大きかっただけに失望も大きかった。「製品は気に入り、欧州市場に紹介したいと思うが、中国製品より2倍以上も高く、どうすればいいか…」。価格を下げてほしいという要求だったが無理だった。一歩も交渉が進まなかった状態で、バイヤーは再びドイツに戻った。

●FTA発効を1週間後に控え、「サンプルを見せてほしい」

「早くミーティングをしましょう。直ちにサンプルを作ってください」

韓EU間FTA発効開始を1週間後に控えた今年6月、バイヤーのハネス氏から再び連絡があった。李社長とハネス氏は、一山のキンテクスLED展示会場周辺のホテルで会った。李社長は昨年示した価格を固守したが、ハネス氏は、「今年は十分、競争できるような気がする」と切り出した。「先日、見せてもらった製品を、欧州で販売すれば勝ち目があります。ひとまず、サンプルを送って下さい。契約を期待してもらってもいいですよ」。

万感こもごも至った。これまで同社のLED製品は、安価な中国製と高品質で知られているドイツ製品との狭間で苦労してきた。一部の欧州バイヤーからは、「中国製は安価なため、また、ドイツ製はブランドや品質のため使うが、韓国製は中途半端だ」と言われたこともある。

しかし7月1日、韓EU間FTAの発効を受け、これまでLED製品にかけられていた4.7%の関税が撤廃され、ドイツ製品の75%の水準で価格をあわせることができた。中国製よりはやや割高だが、品質はドイツ製品に匹敵するほどの競争力を備えるようになったのだ。

李社長は、「大手企業が1ヵ月かかるなら、我々は1週間内にバイヤーが望む製品を、設計から製作まで手がけることができる」とし、「現在、スロバキアにも2000ドル規模のサンプルを輸出し、正式な注文を目前にしており、オランダやオーストリアなどの欧州諸国と輸出契約を巡り、議論が活発に行われている」と話した。

●「奪われた市場を取り戻しているようだ」

京畿道城南市盆唐区数内洞(キョンギド・ソンナムシ・プンダング・スネドン)に本社のあるSHエネルギー化学は、年間売り上げ1300億ウォンの中小企業だ。米粒型スチロールの材料を主に生産している。売上高の半分ほどを輸出で稼いでいるが、最近、この会社は大変な盛り上がりを見せている。今年6月、ポーランドと17万ドル規模の契約を交わしたためだ。

同社で欧州向け輸出を担当しているチョン・ジャンシク課長は、「それほど大きな金額ではないが、中国製に奪われていた欧州市場を取り戻すという象徴性のため、職員らは皆喜んでいる」と話した。同社が作るスチロール原料は、普通1トン当たり1600ドルぐらいだが、中国製は100ドルほど安い。自然に市場では、「いくら韓国製品とは言え、この価格では厳しい」という反応が多かった。

しかし、FTAのおかげで、同製品にかけられていた6.5%の関税が1年内に4.8%へと減ることになる。4年間で全て撤廃される。契約を交わした日、ポーランドのバイヤーは、「まだ安価な中国製が大手を振っているが、今後は韓国製製品の競争力が高まるだろう」と語った。

現在、同社は全体売上の2〜3%が欧州市場で起きているが、今後は15%までに増やす計画だ。ポーランドはもとより、チェコやドイツ、スイス市場に対してもより積極的に進出する計画だ。



sun10@donga.com