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[オピニオン]成長に警報

Posted July. 28, 2011 07:56,   

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中国の春秋戦国時代に斉国の宣王が孟子に良い政治について問うた。孟子は「人民が腹いっぱいに食べて、穏やかに過ごせば王道は自然と開かれる」として次のような言葉を足した。「生活が安定しなくても、常に正しい心が持てるのは、ただ志のある士だけに可能なことです。一般の人民は経済的な安定がなければ、正しい心が持てません」。恒産がなければ恒心がないと説いた孟子の「無恒産無恒心論」は、経済の重要性を説いた東洋の貴重な金言だ。

◆今年第2四半期の韓国の実質国内総生産(DGP)が昨年同期比3.4%増に留まった。1年9ヵ月ぶりの最も低い経済成長率だ。実質国内総所得(GDI)は、昨年同期比0.4%増で、直前の同年第1四半期比では0.1%減だった。建設業が落ち込んだうえ、米国の景気回復の不振、欧州の財政危機、東日本大震災、国際原材料価格の上昇などの悪材料のため、輸出が伸び悩んだためだ。成長と所得のいずれにも警報が鳴った。

◆韓国銀行は下半期には成長率の回復を期待しているが、不確実性が至るところに散在している。輸出の主力製品であるDラム半導体価格は史上最低の0.75ドルまで落ちた。財政赤字で苦しんでいる米国や欧州、日本の先行きも不透明だ。米ドルに対するウォン相場の強気で輸出の価格競争力にプレッシャーがかかっている。経済の現実がこうなのに、政治家たちは国の成長エンジンを発掘して育てることは後回しだ。経済団体のトップがポピュリズムを批判したことを「けしからん」と思って、国会の公聴会に呼び出して恥をかかせようとするのは、遅れた国でも珍しい政治行為だ。

◆孔柄鋹(コン・ビョンホ)博士は著書「韓国、繁栄への道」の中で「貧困は不便なだけでなく、人間の自由と自尊心も奪ってしまう」と書いた。経済的な繁栄が幸福の最も強力な要素の一つであるという、外国の学者の実証的研究もある。成長と所得増大が万病治療薬ではないが、これを抜きにしては国民生活の質を引き上げることも、国力の強化も期待できない。健全な民主主義の土台となる中間層の拡大や福祉の拡大、また南北統一に備えた財源調達も不可能である。どう分けるかも重要だが、それだって分けられるだけの経済的パイに増やしてこそ意味がある。

権淳活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com