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[オピニオン]奇跡の幹細胞治療剤

Posted June. 25, 2011 05:47,   

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もし、万能の薬が出るなら、それはたぶん幹細胞(stem cell)だろう。幹細胞の分化メカニズムを解明し、統制することになれば、損傷した臓器や組織を取り替えることができ、パーキンソン病や糖尿病などの難病治療も可能になる。幹細胞で、顔の皮膚組織を作ることができるなら、60代の女性を20代のように見せることもできる。大金を払って、定期的にボトックスを打ってもらう必要もなくなるだろう。すでに、国内でも整形手術や脱毛治療に幹細胞が活かされており、「塗れば肌の再生効果がある」という幹細胞化粧品も人気を集めている。

◆国内製薬会社、FCBファーミセルが幹細胞を利用した世界初の旧制心筋梗塞治療剤を開発し、食品医薬品安全庁による最終承認を待っている。05年末、黃禹錫(ファン・ウソク)博士の幹細胞を巡る論文捏造後、低迷に陥った幹細胞業界にとっては、待ちに待ったニュースだ。患者本人の骨髄から取り出した肝細胞を、体外で3〜4週間培養した後、注射剤に作って損傷した心臓に投与する方式だ。この幹細胞は、怪死した心臓細胞を再生させる。自分の体から取り出した肝細胞を使うことで、拒絶反応がなく、胚性幹細胞ではないので、命の破壊のような倫理的議論をない。

◆国内幹細胞治療剤市場は、年間400億ドル規模の高付加価値産業だ。今回、承認が下りるFCBファーミセルの「ハーティセルグラムーAMI」のほか、17製品が臨床試験が進行中だったり、すでに完了している。ただ、喜ぶにはまだ早い。世界の幹細胞を巡る研究方向は、遺伝子を組み替え、すでに分化した体細胞から幹細胞を誘導する誘導万能幹細胞(IPS)に変わっているが、我々はいまだ、倫理を巡る議論の余地のある胚性幹細胞や市場の限られた成体幹細胞の研究に止まっている。

◆黃禹錫事件が引き金となって、国内での幹細胞向け投資や研究が二の足を踏んでいる間、米国や英国、日本などは幹細胞の研究で大きな進展を見せている。バラク・オバマ米政府は、生命倫理に反することを理由に、ブッシュ前大統領が規制した幹細胞を巡る研究規制を緩和し、同分野に膨大な資金が流れ込んでいる。07年、日本京都大学の山中伸彌教授が開発したIPSを利用すれば、倫理を巡る議論無しに、人間の臓器を持つ動物を生産する道が開かれる。アップルのスティーブ・ジョーブズ最高経営者(CEO)が巨額を払って入れ替えるすい臓を購入することも、もはや夢ではない世界が到来するだろう。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com