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691億ウォンもの国策R&D事業、「クアルコム特許」が足かせ

691億ウォンもの国策R&D事業、「クアルコム特許」が足かせ

Posted June. 17, 2011 03:00,   

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政府が未来食品産業の育成のため、計691億ウォンを投入する大型研究開発(R&D)事業が、グローバル通信会社である米クアルコムの特許権問題を巡り、難航していることが分かった。第4世代モバイル通信網(ローングタームエヴォリューション=LTEアドバンスト)機器に取り付けられるコア部品「ベースバンドモデムチップ」の事業権を巡り、三星(サムスン)電子とLG電子が競う過程で、二社がクアルコムと交わした特許契約の内容が明るみに出たのだ。

同契約書によると、二社はモデムチップを開発しても、クアルコムの同意無しには海外向けに輸出できない。今回のプロジェクトを受注したLG電子のコンソーシアムは、クアルコム問題を近いうちに解決すると主張している。電子業界は今回の出来事は、三星電子とLG電子は世界的な情報技術(IT)機器メーカーに躍り出たものの、相変わらずクアルコムの重要特許に頼らざるを得ない「技術従属」の現実を克明に示していると評している。

先月31日、黃昌圭(ファン・チャンギュ)元三星電子社長が率いる知識経済部(知経部)・R&D戦略企画団は、LTE機器の部品や太陽電池、電気自動車、天然新薬などで構成された「未来産業先導の早期性や創出型R&Dの課題」事業者を選定して発表した。このうち、三星電子とLG電子のコンソーシアムが競争相手となり、業界の関心が集まった「IT融合複合機器向けコア部品の課題(LTEアドバンスト向けベースバンドモデムチップなど)」に、LG電子のコンソーシアムが選ばれた。

これに先立って、三星電子・コンソーシアムは先月、クアルコムが国内メーカーと交わした特許権契約書の一部の条項を、担当部に公開し、問題を提起したという。該当条項は、「携帯電話メーカーは、自社製品に使用すること以外の目的で、クアルコムの特許を使用した部品(ベースバンドモデムチップなど)を開発したり、外注生産することを禁じる」としている。これは二社共に、開発を済ませたモデムチップを、クアルコムの同意無しに、海外向けに販売できないことを意味する。クアルコムは、携帯電話通信技術の大半を、オリジナル特許として保有している。

これと関連し、コンソーシアム主管社として、技術開発の全ての過程を直接主導する意思を明らかにしたLG電子とは違って、三星電子は、コンソーシアム参加の中小メーカー各社を、開発の前面に立たせることにした。また、最終的に開発された部品を、販路確保のため主管社が購入する意思はあるのかという担当部の質問に対し、LG電子は同意したものの、三星は否定的な反応を示した。これは、三星がクアルコムとの特許権契約書によるトラブルを懸念したためだ。結局、担当部・R&D戦略企画団の評価委員らは、主管社の事業参加意思項目で、LG電子側に高い点数をつけたとしている。

担当部や民間評価委員らは、三星電子・コンソーシアムによる問題提起で、後でクアルコムとの特許権問題に注目し、事業者選定直前の先月になってようやく、LG電子に対し、「特許権問題をどう解決するのか」という質問を投げかけた。これに対し、LG電子側は、「クアルコムとの交渉を通じ、モデムチップの開発や生産を巡る同意を求めることができるだろう」と回答した。

これを受け、LG電子は今週末までに、担当部・R&D戦略企画団に対し、クアルコムから生産や販売を巡る同意を求めることを証明する文書を示すことにした。電子業界では、今回の出来事は1995年の第3世代モバイル通信技術「符号分割多重接続(CDMA)」技術をクアルコムから導入し、16年間が過ぎた今も、重要特許に頼る手痛い事実が思い起こされるものと見ている。実際、政府はクアルコムが韓国からだけでも昨年まで、計5兆ウォン以上のロイヤルティ収益を獲得したと試算している。

これと関連し、国内大手法律事務所の弁理士は、「どうせ、LG電子がLTE向けベースバンドモデムチップを開発しても、すでに世界でのクアルコムの市場支配力が余りにも強力であるため、相手にならない」とし、「クアルコムはこのような側面を考慮し、LGの要請を受け入れた可能性が高い」と分析した。実際、05年、三星電子は第3世代ベースバンドモデムチップを独自に開発したが、クアルコムの牽制に押され、商業化にまではこぎつけなかった。

担当部の関係者は、「技術後進国が先進国に追いつくためには、直ちにお金にならなくても、地道に標準特許開発にチャレンジしなければならない」と言い、「そうすればいつかは、この16年間続いてきたクアルコムに対する技術従属から完全に脱することのできる日が来るだろう」と語った。



sukim@donga.com