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[オピニオン]ぺク・チョンガン・シンドローム

[オピニオン]ぺク・チョンガン・シンドローム

Posted May. 30, 2011 03:24,   

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昨年、Mnetの番組「スーパースター2」の優勝者、ホ・ガクに続き、国内で起きた「オーディションブーム」が排出したもう一人のスターが誕生した。27日、MBC番組「スターオーディション、偉大な誕生」の決勝戦で、中国延吉・朝鮮族自治州出身の朝鮮族の若者、ベク・チョンガン(22)が最後の勝者となった。実は彼は、強力な優勝候補ではなかった。延吉の方言を使う純粋な姿、そして、金稼ぎのために韓国に渡った両親と、9歳の時から離れて暮らした痛ましい個人事情が、視聴者の心を動かした。ベク・チョンガンは、視聴者による電話投票で高い点数をもらった。

◆ベク・チョンガンは、優勝インタビューで「延吉では、私のような場合は特別なケースではない。多くの家族が、両親が出稼ぎに行っているため、一緒に暮らしていない」と話した。延吉に住む朝鮮族の欠損家庭の割合は60%を超えている。韓国や中国の上海、天津などに、出稼ぎに行った両親のため、「孤児ではない孤児」が溢れている。両親も同様に長期間の別居が多く、離婚が相次いでいる。子供らは、祖父母や親族らに預けられ、学業を諦め、非行に走るケースも少なくない。

◆ホ・ガクの優勝が「公正社会」という話題とあいまって、社会的反響を招いたように、ぺく・チョンガンの優勝は、延吉・朝鮮族に対する関心を引き出している。朝鮮族出身で、国内に滞在している労働者は計30万人ほどだ。彼らは、内国人が嫌う建設現場や製造業、農業、飲食店での手伝い、家政婦、介護人など、いわば、3D業種で働きながら、我が産業の一役を担っているが、「雇用を奪う」というネガティブな目で見られている。ベク・チョンガンは、延吉社会のこのような悲しみや朝鮮族への偏見に打ち勝ち、「コリアンドリーム」を勝ち取った。

◆「チョンガンがオーディション参加のため、韓国に来ると初めて言った時、「いたずらに車賃と使うな」と言いました。いくら歌がうまくても、差別を受けるだろうと考えたからです」。韓国で長い間働いてきた父親のベク・ミョンドク氏の言葉だ。しかし、彼の予想は、見事に外れた。朝鮮族を含めた多文化人に対する韓国社会の包容性が、それだけ大きくなったことを示している。延吉は今、祭りムードに包まれている。「ベク・チョンガンは朝鮮族の誇り」という反応が出ている。韓国に感謝するという言葉も出ている。夢だけを信じて、果敢な挑戦に乗り出したベク・チョンガンは、韓国と延吉とのギャップを縮める大きな役割まで果たしている。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com