Go to contents

[オピニオン]完全犯罪

Posted May. 27, 2011 07:26,   

한국어

「完全犯罪」というと、思い浮かぶ映画がある。ケヴィン・スペイシーが申し分のない演技を披露したハリウッド映画「ユージュアル・サスペクツ」だ。「ユージュアル・サスペクツ」とは、犯罪が発生した時、警察が真っ先に容疑者として捜査対象にあげて調べる人のこという。有力な容疑者の「ヴァーバル」に扮したスペイシーが容疑を晴らし、警察署を出てから、引きずっていた両足をまっすぐ伸ばし、歩くシーンは反転の白眉だ。

◆妻を殺害した疑いで、最近拘束された釜山(プサン)某大学教授のカン某容疑者も、完全犯罪を狙ったようだ。国内名門大学を卒業したカン容疑者は、コンピューター犯罪の専門家で、検警サイバー犯罪専門委員や韓国コンピューター犯罪研究学界会長を務めた。彼は、専門知識を利用し、妻と会う場所や遺体を運ぶ道に防犯カメラのないところを選んだ。犯行の日付を山登り会の飲み会がある日に決め、アリバイを作った。内縁女性と取り合った携帯メールを削除するため、ソウルのカカオトック本社を訪問してまでメッセージを削除した。その後、妻が行方不明になったと警察に通報した。カン容疑者の犯罪は、「良識のない知識」の危険性を逆説的に見せる。

◆迷宮入りになるところだった彼の犯行は、遺体が入れられたかばんが水面上に浮かび、解決の糸口となった。遺体が入れられたかばんを買う場面が、売場の防犯カメラに撮られ、カカオトックのメッセージは警察が復旧した。カン容疑者は、遺体を洛東江(ナクドンガン)の河口堰に捨てれば、海へ流れると思ったが、彼の予測とは異なり、遺体は逆流に乗り、川で発見された。犠牲になった人の遺体は、川底に沈まず、浮かび上がり、犯人を捕まえる糸口を提供するケースが多い。

◆防犯カメラやDNA分析、デジタル復旧技術など科学捜査技法の発達で、完全犯罪は居所を失いつつある。「ネズミ食パン事件の自演自作」「妊娠9ヵ月の医師妻窒息死」「三星電子携帯電話爆発」事件で、科学捜査が真実を突き止めた。髪の毛一本や唾液、精液一滴からもDNAを抽出する分析技法は、犯罪捜査の新紀元を開いた。プライバシー侵害の議論にも関わらず、CCTVの犯人検挙の効果は威力的だ。コンピューターと携帯電話を使うと、全ての記録が化石のように残る。コンピューター専門家のカン容疑者は、殺人をコンピューターゲームのようにあまりにも軽く考えたかも知れない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com