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ウォン相場乱高下、原発爆発が韓国外国為替市場を直撃

ウォン相場乱高下、原発爆発が韓国外国為替市場を直撃

Posted March. 15, 2011 05:08,   

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「5つ、ボート(bought)!」

「ディーリングルーム」の静けさが破れたのは午前11時過ぎのことだった。一人の為替ディーラーがいきなり席から立ち上がり大きな声で叫んだ。顧客が500万ドル(5つ)を銀行に売った(ボート)という注文内容だった。すぐさま、ほかのディーラーの声が続いた。「150ボート(1億5000万ドル売り)。『ポイント3』(1130.3ウォン)!」。ディーラーらが叫ぶ数値は次第に大きくなった。一人のディーラーが「10ボート(1000万ドル売り)」と叫ぶと、ほかのディーラーが「2.5(1132.5ウォン)」と切換えした。ウォン安のテンポが徐々に加速しディーリングルームの緊張感がピークに達した。席に座って電話でオーダーを受けていたディーラーらが立ち上がり始めた。電話のベルがひっきりなしに鳴り響いた。あちらこちらから「(為替相場が)過度に上昇しそうだ」という叫び声が上がった。

14日、ソウル中区乙支路(チュング・ウルジロ)2街にある外換(ウェファン)銀行本店のディーリングルームの一日は緊張の連続だった。ディーラーらもある程度は予想していた。日本で大地震が起きた11日以来の初取引だったからだ。14日、為替市場の衝撃の度合いは今後の為替の方向性を示す目安だ。前日なかなか眠れず、普段より早めに出社したディーラーも大勢いた。

午前9時取引が始まると、為替市場の動きは予想より順調だった。日本の大地震が、韓国国内の実体経済や金融市場に及ぼす影響が大きくないという予測が広まったためだ。実際、同日の対ドルウォン相場は、前取引日である11日より0.2ウォン安の1ドル=1124ウォンで取引が始まった。

「日本福島第1原子力発電所第3号機の建屋、午前11時1分爆発」という字幕がコンピューター画面の速報に映し出された。日本証券市場の暴落の勢いにも関わらず、緩やかな上昇振りを見せた対ドルをウォン相場グラフが、急激に年中最高値まで上昇し始めた。ディーリングルームの電話ベルが軒並み鳴り始めたのもこの頃だった。ディーラーらは、「今、ドル安が進んでいます。オーダーを待っておりご連絡ください」と答えた。一人のディーラーは、「顧客らは不安を感じていて取引をためらっている」と耳打ちした。

為替市場の不安が高まると、日本の円を巡る取引もそれに便乗し高騰した。ウォンを売り、円を買う取引だ。大地震が日本経済の災いにはならないだろうと考え、円高にかける取引内容が主流を成した。一人のディーラーは「為替取引は普段より2.4倍ほど増えた」とし、「月末でもないのにこれほど増えたのを見れば、日本大地震の影響が為替市場に与える衝撃は決して少なくない」と話した。

同日のドル相場は前取引日より5.5ウォンウォン安ドル高の1ドル=1129.70ウォンで取引を終えた。グローバル金融危機やドバイ事態、欧州財政危機、哨戒艦「天安(チョナン)艦」沈没事件、北朝鮮からの延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件などが起きた時、対ドルウォン相場が1ドル=数十ウォンずつも乱高下したのに比べれば、上げ幅は大きくなかった。しかし、ディーラーらは緊張を緩めずにいる。

外換銀行の金ドゥヒョン首席為替ディーラーは「午前、推移を見極めながら安定を取り戻すかのように見えたが、原発爆発のニュースひとつで不安が増幅した」とし、「今後、日本から届くニュースにより、市場が乱高下する可能性が高い」と話した。

アジア主要通貨のうち、とりわけウォンだけが大幅なウォン安を見せたのも、為替市場の専門からが注目するくだりだ。14日、ウォン相場下げ幅は0.5%だったが、マレーシアのリンギットやタイのバーツ、インドネシアのルピアなどアジア主要通貨は、大半が強気を見せた。

チョン・スンジ・三星先物研究員は、「韓国が日本と最も近いことを理由に、国内投資家や海外投資家らがほかの通貨に比べより大きな不安を抱えているためと見られる」と主張した。



achim@donga.com