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[オピニオン]遺体の「サイン」

Posted February. 22, 2011 09:10,   

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遺体を解剖する国立科学捜査研究院(国科捜)法医師らの世界を取り扱っている、SBSのドラマ「サイン」が放送されている。主人公の天才法医学者であるユン・ジフン(バク・シンヤンが扮する)と国科捜院長のイ・ミョンハン(チョン・グァンリョルが扮する)はそれぞれ、「正義」や「権力」を代弁し、事毎に対立する。真実を究明する決め手は、ほかならぬ遺体が持っている。「生きている人はうそをつくことができるが、遺体はうそはつかない」(ユン・ジフン)という命題は、科学捜査の基本原則だ。

◆フランスの犯罪学者、エドモンド・ローカルは、「接触する二つの個体は、痕跡をやり取りする」と主張した。ローカルの交換法則としても知られているこの名言は、「全ての犯罪は証拠を残す」という意味だ。犯罪者がうっかり踏んだところ、触ったもの、残したものは全て証拠になりかねない。実際、過去から使われていた指紋認識や、最近導入されたDNA鑑識は、科学捜査に飛躍的な発展をもたらし、犯人検挙や無念な被疑者の濡れ衣を取るのに大きく貢献した。

◆出産を控えた医師の妻である朴某氏が、浴室で死亡した事件と関連し、我が国の科学捜査能力が試されている。容疑者である夫は、臨月の妻が浴室で足をすべらせ、死亡したと主張し、犯行を強く否定している。一方、国科捜は、妻の死因を、「手による、首を押されたことによる窒息死」だと通知した。国科捜は、意図的に殺害したと判断している。警察は、国科捜の分析を基に、死亡者の夫に対し、拘束令状を再び申請する計画だが、直接的な証拠が足りず、死因を巡る真実攻防は長期化している。

◆この事件で特に目を引くのは、容疑者が人体の特性をよく知っている医師であるからだ。これまで、医師が容疑者として名指された殺人事件では、無罪が言い渡された事例が少なくなかった。1995年の歯科医師親子殺害事件の犯人として、夫の外科医が起訴され、1審では死刑まで言い渡されたが、最高裁では証拠不十分で釈放された。同年、アイドルグループ「デュース」のメンバー、金ソンジェが死亡した。腕に26ヵ所も注射の跡が見つかり、歯科学部の学生だった彼女が、事件直前、動物用麻酔剤を購入したことが分かり、犯人と名指されたが、2審では無罪判決を受けた。残念なことに、朴氏が残した「サイン」を見逃さず、見つけ出し、死の実態を究明するのが警察の責務だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com