自らを「恵まれた人」と話した。プロ野球の首長になって２年。０９年第２回ワールドベースボールクラシック（ＷＢＣ）準優勝に続き、昨年広州アジア大会で金メダル、そして、プロ野球最多観衆（５９２万人）まで。しかし、「ただ乗りし、祭りを楽しんだだけ」と笑って済ませた。韓国野球委員会（ＫＢＯ）の兪栄九（ユ・ヨング）総裁の話だ。
兪総裁は、就任３年目を迎え、プロ野球第９球団設立の扉を開いた。情報技術（ＩＴ）企業のＮＣソフトと昌原（チャンウォン）市を９球団優先交渉者に選定した。１９９０年、サンバンウル（現ＳＫ）が８球団目に誕生してから、１１年ぶりのことだ。１４日、ソウル江南区道谷洞（カンナムグ・トゴクドン）の野球会館５階の執務室で会った兪総裁は、「プロ野球発足３０周年になる今年は、６００万観衆時代を切り開く」と口火を切った。
●「ＮＣソフトの金沢辰代表に胸を打たれた」
９球団の設立を巡り、従来の球団から様々な話が出た。ＩＴ中小企業のＮＣソフトが野球団を運営できるかで意見が分かれた。しかし、兪総裁はＮＣソフトに軍配を上げた。
兪総裁は金沢辰（キム・テクジン）代表に胸を打たれたと話した。金代表は、「子どもたちを暗いゲーム場に追い込んだことへ責任を感じる。野球団を作り、子供たちを野球場に誘導する」と話した。また、９球団設立の基準に３０大企業が名乗りを上げるべきという論理に対しては、「私財を投げ打ってでも、１００年間野球団を運営する自信がある」と話した。
●「１０球団設立？９球団より簡単！」
兪総裁は、もう１０球団の青写真を描いていた。「人口１００万人以上で既存の野球場がある地域のうち、京畿道が意向を持っています。昌原市のように７０〜８０％の支援を約束すれば、設立するという企業もあります。肝心なのは野球への愛情です」
兪総裁は１０球団体制は必須であることを強調した。９球団が１軍に入ってくると、全体試合数が減少する。１週間に１チームは３日を休まねばならない。チーム数が奇数であるためだ。
「プロ野球は、アマチュア野球のインキュベーターの役割を全うしなければなりません。現在、高卒の選手がプロ野球団に入団する数は、全体の１０％に過ぎません。プロ野球団が増れば、高校選手に与えられる機会も多くなります。プロ野球団が当該地域の高校野球を支援すれば、野球人口も増えるでしょう」
●「野球インフラ、地方から改善」
兪総裁は人気に比べ、劣悪な野球インフラの改善に本格的に取り組む計画だと話した。光州（クァンジュ）球場は今年工事に入り、１４年に完工する。大邱（テグ）は、２万５０００席規模の開放型球場を建てることを決めた。昌原市は、馬山（マサン）球場をリモデリングし、３０００億ウォンを投資し、新しい野球場を建てる予定だ。
問題はソウル市。韓国を代表する蚕室（チャムシル）野球場は、１９８２年に建てられて施設が老朽化している。兪総裁は、「蚕室水泳場用地などに新野球場の建設と関連し、斗山（トゥサン）、ＬＧやソウル市と協議する考えだ」と話した。
今年も兪総裁は様々なアイデアを準備した。プロ野球発足３０周年を迎え、ソウル広場で写真展を開き、野球博物館建立の事前段階としてサイバー博物館などを運営する計画だ。プロ野球が選手には安定した職場で、ファンにはいつも楽しい空間になることを目指している。中国、モンゴル、ベトナムなど野球後進国を支援し、アジアシリーズを拡大するのが兪総裁の望みだ。
兪総裁は、「多文化家庭など恵まれていない隣人と共にし、エコを目指すプロ野球にしたい」と話した。兪総裁にとって野球とはどのようなものなのか。「野球は世の中で最も面白いスポーツです。緊張と弛緩が繰り返され、数多くの場面が出てきます。両チーム間の知恵比べが、グラウンドで繰り広げられます。格安な値段で約４時間楽しめるのは野球だけじゃないですか」
beetlez@donga.com
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