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継承者育てない組織文化、官治から自律経営へ移行の影響も 新韓金融騒ぎ

継承者育てない組織文化、官治から自律経営へ移行の影響も 新韓金融騒ぎ

Posted September. 17, 2010 06:51,   

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新韓(シンハン)金融持株の羅応燦(ラ・ウンチャン)会長と初めて会ったのは05年5月12日だった。朝興(チョフン)銀行と旧新韓銀行の統合のやり方をめぐって異議を唱えた崔永輝(チェ・ヨンフィ)社長を電撃更迭し、騒がしい盛りの時期だった。崔社長を更迭した理由を聞くために前日の夜、羅会長の自宅を訪れた記者に新韓金融側は、「お願いだから、帰ってもらいたい。その代わり明日、羅会長とのティータイムを設ける。ただし、『崔永輝の件』は聞かないという条件で」と言った。

新韓銀行本店の会長執務室で会った羅会長の表情は案外明るかった。全ての質問に誠意を込めて答弁した。しかし、一つだけ「どうして更迭したのか」という質問には最後まで黙り込んだ。同じ質問を何回か遠まわしに聞いても「また別の誤解を産みかねない」として言葉を控えた。

事件の顛末が明らかになるまではそれほど時間がかからなかった。崔社長が在日韓国人の株主の影響力が強すぎて経営権を牛耳る状況に対して深刻な問題提起をし、これは直に「羅応燦への挑戦」と受け止められた。羅会長が崔社長を追い出すと、金融街では権力争いの犠牲になったという意見が出た。

今回の新韓金融事態が馴染み薄くないのは05年の記憶のためだ。近くは昨年9月、黄永基(ファン・ヨンギ)元KB金融グループ会長の辞任以降、姜正元(カン・ジョンウォン)国民銀行頭取が会長職を狙ったものの結局は辞任を迫られたKB金融事態もある。忘れかけていたら再放送をする地上波テレビの週末映画のように、繰り返されるのが韓国金融界の権力闘争の歴史だ。主人公のみが変わるだけで、「最高経営者(CEO)の長期執権による内部の権力争いと官治金融」というストーリーの構図はさほど変わらない。

まず、はっきりしたオーナー(支配株主)のない銀行で誰かが1人者になると、長期執権の誘惑に負け、後継者を育てない後進的な組織文化が権力闘争が繰り返される理由だ。社外理事がCEOの権力をけん制できず、イエスマンに転落しているのも1人支配体制を強固にする要因だ。

米国の金融会社が、通常は予め10〜15人の「CEO候補群(Pre-CEO)」を選んで、競争させた後、実績を冷静に比較した上で後継者を決めているのとは対照的だ。経営実績がずば抜けて良好な場合に限って、一度ぐらい再任するのがしきたりとなっている。このような厳しい過程もグローバル金融危機を機に、穴が浮き彫りになって、先進国の金融界では承継システムに対する研究が活発に進められている。

今回の新韓金融事態をきっかけに国内でも金融界の経営支配構造の改善をめぐる議論が本格的に進められることが確実視される。「金融会社支配構造改善法」をまとめている金融当局に新韓金融が「メガトン級の材料」を提供し、名分と世論を味方につけたためだ。

これを受け、理事会傘下の監査委員会の力を強化して経営陣をけん制できるようにし、大株主と役員の資格審査をより厳しくする案が近日導入されるものと見られる。

実際、通貨危機の前までも新韓金融事態のような権力争いはめったになかった。いわゆる「モフィア(旧財務部出身の官僚をマフィアに喩えた言葉)」を中心にした官治の統制にあったためだ。

しかし、通貨危機以後、銀行経営の質量中心は官治から自律へ徐々に移り、金融会社のCEOらが官治と自律経営の間の破裂音に耐え切れず、矢継ぎ早に退いたのだ。どうのこうのと、理由を付けられ金融当局から重い懲戒を受けて辞任を迫られた銀行界のCEOは、金正泰(キム・ジョンテ)全国民(グクミン)銀行頭取、崔東洙(チェ・ドンス)元朝興銀行頭取、黄永基元KB金融会長ら、幾人もいる。

前職・現職の財務官僚の不満も手をつけたら破れそうな風船のように膨れ上がっている。最近、少なくないモフィアの強行派らが、「1%も満たさない小さい持分を持って、まるでオーナーのように全権を行使しながら長期執権するのは明らかに改革の対象となる」と言っていることを見ても分かる。

(アドバイス=イ・シヨン金融研究院研究委員、チョ・ミョンヒョン高麗大学経営学科教授、イ・ハンドゥクLG経済研究院研究委員、チョン・ソンイン弘益大学経済学科教授)