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[オピニオン]財産権の保護

Posted April. 02, 2010 07:17,   

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米国の金融コラムニストであるウィリアム・バーンスタインは、ベストセラーとなった「豊かさの誕生(The birth of plenty=2004)」の中で、英国や米国、フランスなどが富裕国となった背景について分析している。氏が見つけ出した「4大オリジナリティ」は、科学的な合理性や財産権保障、資本市場、通信や輸送の発達である。この4つが一つの場所で同時に現れたのは、1820年ごろの英国が初めてだ。フランスは官僚、貴族や重商主義的政府によるさまざまな規制、通行税のせいで、4大オリジナリティがきちんと開発されず、第2位の金持ち国となった。

◆資本主義は、私有財産制度に基づいており、私有財産制度は、財産権によって保たれる。小説家の卜鉅一(ボク・ゴイル)氏は、「正義の体制としての資本主義」という本の中で、「財産権があれば、経済的な自由だけでなく、政治的な自由も保障されるが、財産権がなければ、究極的には共産主義社会のように、貧困や抑圧、画一化のみ残るようになる」と診断した。1949年に建国した中国が、60年ぶりに世界経済をリードする「2大大国」へと跳躍できたのは、国有企業を巡る改革や私営企業の飛躍的な発展がその土台となった。国有企業の改革への第1歩は、財産権を認めることだった。

◆米国のヘリテージ財団は、経済の自由が高いほど経済が発展し、1人当たりの所得が高いと指摘している。ヘリテージ財団が1月に発表した10年の経済自由指数で、韓国は昨年の40位から9ランク上がった31位(平均69.9点)だった。北朝鮮は、最下位の179位(平均1.0点)から抜け出せずにいる。経済自由指数は貿易や労働、投資、財産権保護などの10部門を、それぞれ100点満点として評価しているが、北朝鮮は8つの部門で0点、財産権や反腐敗部門は5点ずつだった。しかし、財産権も、「土地をはじめ、財産権のほとんどは国の所有であり、司法府は独立していない」という評価を受けた。

◆北朝鮮が先月末、韓国企業が金剛山(クムガンサン)で所有している不動産の凍結可能性を示唆し、調査を行った。先日、全面的な海外投資家の募集に乗り出すことを決めた北朝鮮で起きた出来事だ。窮地に追い込まれれば外資を誘致し、気持ちが変われば、「没収や凍結」を簡単に口にする集団である。統一部も声明を発表したものの、韓国企業の財産権が保障されなければ、南北間の協力事業はありえない。財産権の侵害は全ての商取引を沈没させかねない。

洪権憙(ホン・グォンヒ)論説委員 konihong@donga.com