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[社説]「無償天国」の選挙公約、国民が被害者

[社説]「無償天国」の選挙公約、国民が被害者

Posted March. 10, 2010 04:43,   

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6・2地方選挙を控え、ばらまき公約があふれている。教育分野では、小・中学で環境にやさしい無償給食を実施し、大学の授業料を画期的に引き下げるという公約が、代表的なポピュリズム公約だ。家庭の所得水準も考えず、児童手当てを新設するとか、非正規職の正規職への転換といった内容もある。

全国の小中高で給食を無償にするには、年間約3兆が必要だ。小・中学だけで実施しても、年間約2兆ウォンの費用がかかる。これだけの費用を調達するには、国民から税金をさらに徴収し、福祉の恩恵を減らすほかない。結局、国民負担になるということだ。しかし、ばらまき公約を乱発する政党や政治家らは、公約実現のための財源については一言もない。

税金を上げる場合、裕福な者だけが税金の負担が増えるわけではない。昨年の総国税収入164兆ウォンのうち、高所得高額資産家が払う税金の割合は、財産関連税金17.2%と総合所得税納税分3.7%を合わせた約20%ほどだ。総合所得税の中には、一部の中小自営業者の納税分が含まれているため、実際に高所得者の納税比重はこれより低い。法人税を除いた場合、結局、税金の増加分の約80%は、中産層と庶民が負担しなければならないという計算になる。有権者がばらまき公約を享受するだけで、税金は一銭も払わないかのように宣伝する公約は、詐欺にすぎない。

別の教育予算を無償給食の予算に回すなら、庶民の子どもに渡る別の予算が減ることになる。世界的な経済危機以降、社会福祉予算の比重が大きく増え、議員の歳費や公務員の給料を減らさない限り、庶民用の福祉予算が削られる可能性が高い。中産層と富裕層の子どもに無償給食を提供する金で、庶民層の子どもの奨学金を支援する方が、内容のある庶民政策だろう。

一部の北欧国家では、無償給食を義務教育の延長と考え、施行している。しかし、これらの国家の租税負担率は、40〜50%水準と高い。国民が自ら税金を多く払うと同意しない限り、施行が難しい政策だ。公約を出す前に、財源づくりを先に講じなければならない。

民主党、民主労働党、創造韓国党、進歩新党、国民参加党の5党は8日、無償給食のほかにも、児童手当て支給や老人障害者福祉の拡大といった共同選挙公約を出した。ハンナラ党の一部でも、財源によって、無償給食を拡大しなければならないという主張が出ている。韓国の財政投資の効率性は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、最下位の水準だ。財政危機に陥ったギリシャなどの南欧国家より効率性が劣る。事情がこうであるにもかかわらず、与党と野党が互いにばらまき公約乱発競争を繰り広げることになれば、国の財政事情はさらに悪化し、後世に莫大な借金を残すことになる。