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[社説]「PD手帳に虚偽はない」文盛冠判事のあきれた判決

[社説]「PD手帳に虚偽はない」文盛冠判事のあきれた判決

Posted January. 21, 2010 08:29,   

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米国産輸入牛肉の危険性を虚偽・歪曲したMBCテレビ『PD手帳』の制作側に対する無罪判決は、国民の健全な常識では、納得できない判決だ。ソウル中央地裁の文盛冠(ムン・ソングァン)判事は20日、「報道に多少誇張があっても、重要な部分が客観的な事実と合致しており、虚偽と見ることはできない」とし、鄭雲天(チョン・ウンチョン)元農林水産部長官らに対する名誉毀損容疑にも、無罪判決を下した。

しかし、文判事が虚偽報道ではないと判断した部分は、PD手帳に対する民事訴訟1審と2審で虚偽報道と認定されており、大法院の判決を待っている。民事1、2審は、「へたり牛(ダウナー牛)は、狂牛病(BSE=牛海綿状脳症)にかかった可能性が高い」、「韓国人が、人間狂牛病にかかる可能性が94%に達する」というPD手帳の報道は虚偽であり、訂正報道を命じる判決を下した。2審は、1審より虚偽報道の範囲をさらに広げた。

刑事訴訟では、処罰のレベルを定めるために、犯行動機をさらに追及するが、事実に対する判断をめぐり、民事と刑事の裁判が異なることはない。08年4月29日に放送されたPD手帳の虚偽・歪曲は、牛肉の安全性に対し、最も公信力ある国際獣疫事務局(OIE)の判断に反する内容だった。報道の重要な部分が虚偽・歪曲だという1、2審の裁判所の結論を下級審の判事が無視したことは、実に理解しがたい。

文判事は、韓国社会を混乱に追い込んだPD手帳の制作側に対しては、「国内外の専門家の意見などそれなりに根拠を持って批判した」という評価を下した。しかし、PD手帳は、動物保護団体が動物虐待を告発する目的で撮影したダウナー牛の映像を、狂牛病にかかった牛と断定する誤りを犯し、狂牛病に関し権威ある機関や学者の見解を正確に報道しなかったことについて、追及しなかった。

ソウル高裁の判決は、「MBCの虚偽報道で、農林水産部の信頼と名誉が損なわれた。」と判断した。処罰するかどうかを決めるには、実際の悪意(actual malice)を見極めなければならないが、虚偽報道ではないとか、「農林水産部の名誉や信頼は損なわれなかった。」とする文判事の結論は受け入れがたい。

最近、国民の常識からかけ離れた判決が溢れ、めまいがするほどだ。大韓弁護士協会は19日、「判決に適用される論理は、確立された法理と国民の常識に符合しなければならない」とし、異例の司法判決を批判した。李容勲(イ・ヨンフン)大法院長は、「司法の独立を守る」と述べた。解釈によっては、一部判決に対する批判が、司法の独立を揺さぶっているという発言のように聞こえる。今は、誰も裁判所が干渉されているとは思わず、司法は独立している。司法の一部裁判官が自分の考えに捉われ、常識や道理に外れた判決を下すことは、独裁権力以上に危険だ。司法が健全性を失えば、法の支配は意味を喪失する。