Go to contents

影を潜めた北朝鮮の「経済強国」スローガン、なぜ?

影を潜めた北朝鮮の「経済強国」スローガン、なぜ?

Posted December. 30, 2009 08:33,   

한국어

「強盛大国建設」は、「先軍政治」とともにこの10年間、北朝鮮の住民を煽動してきた核心スローガンだ。北朝鮮は10年前から、「2012年に強盛大国の扉を開く」と公言してきた。しかし、2012年が2年後に迫った今、それは言葉遊びに終わる可能性が高まっている。このことを意識してか、北朝鮮の強盛大国論も10年前より後退する兆しを見せており、注目される。

●「経済強国」論、影を潜める

これまで強盛大国建設の核心論理は、「経済強国」だった。北朝鮮は、98年に強盛大国という単語を作り出し、「政治思想強国」、「軍事強国」、「経済強国」をすべて合わせたものと定義した。政治思想強国と軍事強国はすでに達成したため、これからは経済だけ強国にすればいいという理屈だった。このため、すべての政策は、経済強国の建設に焦点が合わされてきた。

しかし、最近、北朝鮮メディアから経済強国という言葉が消えつつある。代表的な事例として、北朝鮮の対外宣伝用ウェブサイト「わが民族同士」に27日、「主体の社会主義強盛大国の証」という文章を載せ、経済強国という単語を抜いて強盛大国を定義し直した。

「領土の大きさや人口、社会生活といった一定の分野が高い段階に達した国を意味するのではなく、国力が強く、すべてが栄え、人民が世の中を羨むことなく暮らす国」というものだ。また、国力で最も重要なことは政治思想的な力であり、軍事力は「核心構成部分」だが、経済的な力は「重要構成部分」と定義することで、経済の重要度が3番目に後退した。「ごく少数が国の権力と富を独占し、特権と億万の富を享有する国は、繁栄した強大な国とは言えない」というタイトルも目を引く。

最近、デノミネーション(通貨呼称単位の変更)と不動産管理法などの相次ぐ措置によって、市場で金を稼いだ市場経済勢力を追放している北朝鮮が、これを強盛大国建設の論理に活用しようとしているようだ。

●強盛大国の経済水準

北朝鮮はこの10年間、絶えず経済強国を叫んできたが、経済水準の目標を一度も明確にしたことはない。ただ、「人民が世の中を羨むことなく暮らす国」という抽象的な単語だけが羅列されただけだ。このため、北朝鮮の社会科学者の間でも、強盛大国の経済水準を先進国と比較するのか、もしくは独自の基準で評価するのか、意見が錯綜している。

最近、強盛大国の論理の中で目につくのは、評価基準が今日だけでなく、今後も永遠に富強繁栄する国にならなければならないということだ。今は貧しくとも、今後繁栄できるならいいという意味だ。北朝鮮が、今のような閉鎖政策を維持し、経済力の比較基準を外部世界との客観的な比較でなく、情報を統制して貧しい国々と比較して、目標を達成したと主張する可能性が一層高くなったのだ。

貧困の中で強盛大国の達成を叫ばなければならない北朝鮮が、今すぐにでも強盛大国だと叫んでもおかしくないように、焦点をぼかしたような論理を開発するつもりなのか、疑いの目で見ざるをえない。



zsh75@donga.com