Go to contents

KTの民主労総脱退、「テーブルの上の労働運動」への第一歩

KTの民主労総脱退、「テーブルの上の労働運動」への第一歩

Posted July. 18, 2009 08:14,   

한국어

3万人の組合員を擁するKTの労働組合が全国民主労働組合総連盟(民主労総)からの脱退を決めたことで、今後の労働界の勢力図と労働運動の文化にも変化の風が吹くものとみえる。組合員の規模も大きいが、今回の脱退が合理的な労働運動を標榜する第3労総の建設にもつながるからだ。第3労総が浮上する場合、これまで闘争一辺倒だった韓国の労働運動が、妥協と代案提示を重視する方向に向かうのに役立つものと見込まれる。

●KT労組、脱退の意味

KT労組の民主労総脱退は、単なる傘下にある一事業所の労組が上級団体から脱退のとは異なる。KT労組の組合員は昨年11月現在で2万9974人だ。最大組合員を擁する現代(ヒョンデ)自動車(約4万5000人)と2位の起亜(キア)自動車(約3万500人)に続き、民主労総内で3位を占めている。

民主労総は、各地域本部と16の産別労組の連盟体制だ。現代自動車と起亜自動車が、民主労総の主力である全国金属労組連盟所属であるのに対して、KT労組はIT連盟の主力だ。IT連盟組合員は約3万7000人で、このうちKT労組が3万人を占める。今回の脱退で、民主労総を構成する16の連盟のうちの一つが事実上、瓦解することになる。

このような大型事業所労組の脱退は、闘争一辺倒の「民主労総式」労働運動の限界を露にしているものと受け止められている。今年上半期に、ソウル都市鉄道、仁川(インチョン)地下鉄、ヨンジン薬品など約10の事業所労組が民主労総を脱退したが、その度に民主労総は、個別事業所の問題だとして軽く片付けてきた。

骨身を削る刷新ではなく、民主労総は、非正規職保護法の改正をめぐる議論や双龍(サンヨン)自動車問題などの国家的懸案が浮上する度に、妥協と対話よりも「ゼネストも辞さない」と宣言し、背水の陣を敷いた。

さらに、先月には、世界的な経済危機の中で、大韓通運の貨物トラックドライバー約30人の契約解除問題を取り上げ、「物流を止めて世の中を変えよう」と、集団運送拒否を起こした。しかしこれは、ドライバーたちの無関心により5日目で収穫もなく撤回した。95年の民主労総創立のメンバーであり、14年間の同志だったKT労組との決別は、このような民主労総の限界を象徴的に示している。

●熟した第3労総の建設

KT労組が、ただちに第3労総の建設を標榜したり宣言しているわけではない。KT労組は、民主労総から脱退する理由として、「組合員のための労働運動と中道改革路線」を標榜している。しかし、すでに民主労総を脱退したり脱退が予定されている大型労組が、来年から複数労組が許可される場合、自然な流れとして1極に集まらざるをえないというのが、労働界の一般的な見方だ。

労働界のある関係者は、「韓国労働組合総連盟、民主労総との関係があり、すぐに第3労総を宣言することはできず、時期的にも合わない。ひとます、既存の労総から出る労組はすべて出て、その後に集まる考えだ」と話した。

民主労総から、3月に檀国(タングク)大学、チンヘ・タクシー、スンイル実業が、4月に仁川地下鉄、仁川国際空港公社など約10の労組が次々に脱退した。組合員約1万人のソウルメトロ(地下鉄1〜4号線)やソウル都市鉄道公社(地下鉄5〜8号線)など全国6つの地下鉄労組も、9月に「全国地下鉄労組連盟」(仮称)を結成するための組合員投票を行なう予定だ。全国地下鉄労組連盟も、「政治参加排撃、組合員のための労組」を旗印にしている。

労働界では、一連の民主労総脱退の動きが、来年の複数労組の施行とともに第3労総につながるものと見ている。労働部関係者は、「大型事業所であればあるほど、出身と路線に沿って様々な派閥が形成されており、主導権を取り巻く内部闘争が激しい。複数労組が施行されれば、一つの事業所内に反対派による第2、第3の労組が生まれる可能性が高く、これらは結局一つに集まるだろう」との見方を示した。

●労働運動も変化するか

第3労総の建設を進めている労働界のある関係者は、「新しい労働運動は、組合員の福祉を最大の関心事とする『組合員が主人になる、組合員のための労組』を志向する」と話した。また、政権と「一戦を交える」のではなく、対話と交渉を通じて問題を解決するという考えだ。

この関係者は、「労組が政治に参加すれば、労組の性格を失ってしまう。政府と政界に助言と代案は提示するが、労組の直接参加は控えるべきだというのが、参加者の共通の考えだ」と伝えた。

第3労総が、このような方式で運営される場合、イラク派兵、米国産牛肉輸入反対など、労働運動と関係のない事案に、労働界が直接とび込んで対立を増幅させることは減る見通しだ。この関係者は、「労働運動というと、必ず街頭で鉄パイプを持ってゼネスト云々しなければならないものなのか。テーブルの上でも、いくらでも労働運動ができるということを見せたい」と話した。



sys1201@donga.com