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[オピニオン]豚と人

Posted April. 28, 2009 08:20,   

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『蟻』『脳』などの著作で韓国にも読者の多いフランスの作家ベルナール・ウェルベルの著作『われらの父の父』は、結末が衝撃的だ。小説は、4本足の動物が2本の足で歩く類人猿に進化する過程で、決定的な役割を果たした遺伝リンク(ミッシング・リンク)を発見したと主張する古生物学者が殺害されるシーンから始まる。そしてクライマックスで、「われらの父の父」と想定される人類の祖先は、まさに豚だったと明かされる。

◆豚は、解剖構造と生理的特性が人間と最もよく似ている。科学者が、豚で臓器移植用の動物クローン実験をするのもそのためだ。豚は、豚インフルエンザでなくても、鳥インフルエンザやヒト・インフルエンザにもかかる。この時、鳥インフルエンザとヒト・インフルエンザが、豚の体内で遺伝物質を交換し、遺伝子の再組み合わせ(突然変異)が起これば、新型ウイルスが生まれる。この新型のウイルスは、呼吸器を通じて人体に感染する。豚が人獣共通の伝染病の媒介体になるのだ。

◆人類の歴史を変えた大流行病(パンデミック)である天然痘、結核、マラリア、ペスト、コレラといった疾病は、のみ、ねずみ、蚊といった動物の疾病から進化した伝染病だ。狂犬病は、人が狂犬病にかかった犬に噛まれて発症する病気で、ブルセラ病にかかった牛と接触すれば、人もブルセラ病にかかる。後天性免疫不全ウイルス疾患であるエイズは、アフリカのチンパンジーから始まり、全世界の人口の6%に迫る約4億人が感染した。人間狂牛病も、狂牛病(BSE=牛海綿状脳症)にかかった牛の危険部位を繰り返し食べた人が発症する。

◆抗生剤の発見で、多くのバクテリア疾患が退治されたが、同時に新型の伝染病が発生する現象が起こっており、米コロンビア大学のハロルド・ニュー教授は、「細菌は人間よりも利口だ」と言った。人間がワクチンや治療薬を作れば、少しのタイムラグを置いて、微生物が進化する現象を皮肉ったのだ。68年に80万人が死亡した香港インフルエンザ、02年にアジアを強打したSARS(重症急性呼吸器症候群)、最近ベトナムに打撃を与えた鳥インフルエンザの震源地が中国広東省である点は、偶然ではない。広東省では、カモ、ニワトリなどの家擒類や牛・豚を人家の近くで飼う。豚がその中心にある。鳥インフルエンザよりも豚インフルエンザがずっと恐ろしいのは、今回のメキシコや米国の事態のように、人間に簡単に感染するためだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com