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[オピニオン]粉ミルク

Posted October. 03, 2008 03:03,   

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粉ミルクに関する最初の記録は、マルコ・ポーロの紀行文から発見された。イタリアの旅行家だったマルコ・ポーロは、モンゴルのタルタル族がクビライ・カン時代以来、太陽で乾燥させた牛乳の粉を練った形で持ち歩いたと書いている。遊牧民であるモンゴル族は、牛乳の保管と流通が簡単になるように、様々な加工技術を開発した。牛と羊からはバター、チーズ、ヨーグルトを、馬からはアイラグ(馬乳酒)を作った。牛乳に氷や砂糖を混ぜたアイスクリームも、モンゴルが発祥地だ。粉ミルクもそのような発明品の一つだった。

◆韓国人にとって粉ミルクは、近代と米国の象徴として浮かんでくる。1950年代、米国が無償で支援した小麦粉と粉ミルクの記憶のためだ。母親が全脂粉乳にお湯を注いでミルクを作ってくれた時間がどれほど長く感じられたことか、唾を飲み込んで待った記憶を中年以上の年齢層は共有している。1965年、乳児用調剤粉ミルクが生産され、粉ミルクは母乳に取って代わる乳児の主食の地位を占めた。体格がいい子どもには、「粉ミルク食べて大きくなったのか」と聞いた時代だった。

◆一部の輸入菓子だけから検出されたメラミンが、ニュージーランド産粉ミルクの添加物からも検出されたというニュースが、中国産メラミン混入粉ミルクの恐怖を拡大させている。韓国は、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち母乳授乳率が最も低く、調剤粉ミルク市場が大きい。粉ミルク添加物であるラクトフェリンからメラミンが検出されたという事実だけで、母親は不安に思わざるを得ない。ラクトフェリンは、免疫増強のための添加物で、粉ミルクの原料に占める比重は0.003〜0.07%だという。

◆食べ物に関してダブルスタンダードな態度を示す人が多い。体や精力によければ、ヘビ、セミの幼虫、ミミズまでも躊躇せず食べ、一般食品の安全性には極度に敏感だ。鳥インフルエンザが発生した時、とり肉だけでなくかも肉まで食べなかった国は、韓国を除いて世界のどこにもない。しかし韓国は、米国産牛肉に対する「狂牛病怪談」波紋で学習效果を得た。政府は、不透明な情報公開と遅い対応が不安を増長させるという点を肝に銘じなければならない。国民は、不確実な情報に振り回されてはならない。幸い、国産の粉ミルクからはメラミンが検出されなかった。粉ミルクと粉ミルク添加物を区別できる若い母親の知恵も必要だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)shchung@donga.com